サーフ河口

遠浅を攻める:水深がないぶん、時間と変化で釣る

だだっ広い遠浅のサーフや、水深1メートル前後の汽水湖のシャロー。深さで魚を溜められない場所では、わずかな変化と、魚が差してくる時間の窓が勝負になります。ルアーの選び方もあわせて整理しました。

茨城のサーフも、涸沼のような汽水湖のシャローも、共通しているのは遠浅であることです。沖まで歩いて行けそうなほど浅く、目立つ地形の変化もない。「何もない場所」の攻め方で書いた「目印がない」に加えて、水深という逃げ場もないのが遠浅の難しさだと思います。

この記事も、調べたことの整理が中心です。

遠浅の何が難しいのか

3つあると思います。

1. どこも同じに見える。 深い場所なら「あそこは深い」というだけで狙う理由になりますが、遠浅にはそれがありません。

2. 魚が常にはいない。 浅い場所は、シーバスが「住む」場所ではなく「入ってくる」場所です。だから釣れる時間が限られます。深場が隣接していれば、そこから差してくるタイミングだけが勝負になります。

3. ルアーの選択肢が狭まる。 遠浅は飛距離が欲しい場所なのに、飛距離を稼げるメタルジグやバイブレーションは底を叩いてしまって使いにくい、と複数の解説で指摘されていました。「飛ぶ」と「浅く引ける」が両立しにくい。ここが遠浅特有の悩みです。

変化を探す:サーフの場合

遠浅のサーフでいちばん確実な目印は離岸流です。沖へ払い出す流れで、ベイトが流されて集まり、それを待つ魚が入ります。

見つけ方として繰り返し出てきたのが、白波が立たない場所を探すという方法でした。波が押し寄せる中で、そこだけ白波が崩れずに沖へ払い出している。周囲より一段深くなっているので、波が立ちにくいわけです。

前の記事で「サーフなら波を読む」と書きましたが、白波が「立つ場所」を探すのがカケアガリで、「立たない場所」を探すのが離岸流、と整理すると分かりやすいと思います。

離岸流以外では、砂が波で削られてできる細かい起伏(ヨブ)も狙い目になります。

変化を探す:汽水湖のシャローの場合

波がないぶん、探す対象が変わります。

  • 潮目 — 流れの境目。汽水湖でも潮の出入りで筋ができます
  • 葦際や護岸際 — ベイトが付きやすく、水深がなくても魚が入ります
  • 風が当たる岸 — 風でベイトが吹き寄せられ、それを追って魚が入ります
  • わずかなブレイク — 数十センチの落ち込みでも、遠浅では十分な変化です

汽水湖でのシャローゲームについては、水深が浅く潮位や風でベイトが岸寄りしやすいエリアでは、朝夕にトップやシャローミノーで表層を意識するのが有効で、風が入る日はベイトが岸際に溜まりやすい、という解説がありました。風は邪魔者ではなく、ベイトの位置を教えてくれる手がかりです。

時間の窓を読む

遠浅で一番大事なのは、たぶんここです。場所より時間

参考になったのが、涸沼での実釣レポートにあった立ち回りでした。夕方の明るいうちは沖のベイトの塊を狙い、暗くなってベイトが岸際に寄ってからは、ウェーディングも控えめにして、岸と平行から45度くらいの岸寄りを狙ったという組み立てです。

ここには2つの示唆があります。

時間帯でベイトの位置が動く。 明るいうちは沖、暗くなると岸際。同じ場所でも、狙うべき距離が時間で変わります。

そして遠浅では、その岸際に自分が立ってしまう。 これが厄介なところです。深い場所なら足元は釣り座ですが、遠浅では足元こそが本命のポイントになりうる。ウェーディングでどんどん前に出ると、これから魚が入ってくる場所を自分の脚で潰していることになります。

ナイトゲーム入門に書いた「手前から探る」という原則が、遠浅では一段強く効きます。まず立ち込まずに岸際を通し、それから前に出る。 逆の順序でやってしまうと、その日の最初の1投で一等地を潰しかねません。

立ち込む前に、手前を釣る

ウェーディングをするなら、水に入る前に、岸に立ったまま届く範囲を一通り通しておくのが順序だと思います。

浅い場所ほど、魚は思ったより手前にいます。暗い時間帯なら足元数メートルということもある。そこへいきなりジャブジャブ入っていけば、魚は散りますし、散ったことにも気づけません。釣れなかったのか、自分が追い出したのかが分からなくなるのが一番よくないところです。

具体的には、こういう順序になります。

  1. 岸に立ったまま、扇状に何投かして手前を確認する
  2. 反応がなければ、膝くらいまで立ち込んで、そこから届く範囲を通す
  3. さらに反応がなければ、もう一段前へ

一段進むごとに、その位置から届く範囲を釣ってから次へ進む。面倒に思えますが、遠浅では進んだ距離だけ手前の水面を潰しているので、取り返しがつきません。

移動するときは、足を持ち上げずにすり足で進むのがよいと思います。波紋や水音を立てにくいのに加えて、後述するエイ対策にもなります。

この考え方自体は、ナイトゲーム入門に書いた「手前の魚を散らすと群れ全体が警戒する」と同じです。違うのは、遠浅では散らす手段が自分の身体だという点です。

ルアーの選び方

遠浅で求められる条件は、はっきりしています。

  1. 飛ぶこと — 探せる範囲が広がる
  2. 浅いレンジをキープできること — 底を叩かない
  3. ゆっくり見せられること — 浅いぶん、速く巻くと通り過ぎてしまう

この3つを両立しやすいのがシンキングペンシルです。飛距離を出しながら、ある程度スローに探れるのが最大の強みだと紹介されていました。重さのわりに浅く引けるものが多く、遠浅では中心になりやすいタイプです。

フローティングミノーやシャローランナーは、波打ち際や離岸流まわりのごく浅いレンジをじっくり通せるのが利点です。飛距離では劣りますが、手前を丁寧に通す場面では強い。

ジグヘッドワームは、飛距離とナチュラルさを両立できて、レンジも巻き速度で調整しやすい選択肢です。

汽水湖のシャローでは、これにトップウォーターが加わります。水面を撹拌するウェイク系や、水面直下を引けるルアーです。ベイトが表層にいれば水面のゲームが成立し、ベイトが一枚下に沈んだときは水面直下を引けるルアーに替える、という使い分けが紹介されていました。

逆に、メタルジグや重いバイブレーションは出番が限られます。飛ぶのは魅力ですが、着底が早く、巻き始めた瞬間から底を掘ってしまう。使うなら、沖の深みまで届かせたいときに限定するのが現実的だと思います。

組み立ての順序

まとめると、こういう順序になりそうです。

  1. 明るいうちに地形を見る。 干潮時なら、離岸流やヨブ、わずかな落ち込みが目で確認できます
  2. 立ち込む前に、岸際を通す。 足元が本命かもしれません。立ち込むのは段階的に
  3. 飛距離のあるシンペンで広く探り、変化を見つけたらそこを丁寧に
  4. 暗くなったら距離を詰めすぎない。 ベイトが岸際に寄る時間帯です
  5. 反応がなければレンジではなく通す角度を変える。 浅いのでレンジの幅は限られます

最後の点は、ローテーションの記事に書いた「替えるのは波動とレンジ」の例外かもしれません。水深50センチの場所でレンジを刻んでも幅がないので、角度と速度のほうが有効な変数になるはずです。

安全について

遠浅はどこまでも歩いて行けてしまうので、そこが危険でもあります。

ライフジャケットは必ず着用してください。そのうえで、ウェーディングでは次の2つを分けて考える必要があります。

  • 足場の対策 — ウェーダー。足元が長靴になっているブーツフット型なら、それだけで足回りは完結します。足首から先が防水の靴下状になっているストッキング型の場合は、その上からウェーディングシューズを履きます。靴を選べるので、釣り場に合わせてソールを変えられるのが利点です
  • エイの対策エイガード。ウェーダーの上から履いたり巻いたりして、アカエイなどの毒針から脚を守る保護具です。ウェーダーやシューズとは別物で、靴が滑り止めなら、こちらは刺され止めにあたります

ソールについて補足すると、サーフではラジアルソールが向いているようです。フェルトやフェルトスパイクは砂がフェルトに入り込んで洗いにくく、水を吸って重くなるため、砂地ではラジアルを使う人が多い、という説明がありました。逆に苔むした石やゴロタが混じる場所では、フェルトやフェルトスパイクの出番になります。

シーバスがいる場所にはエイもいる、と言われるくらい生息域が重なります。特に水温が上がる時期の浅場は、砂に潜って見えないことが多いので、すり足で進んで、いたら逃げてもらうのが基本です。前方を棒で探りながら進むウェーディングスタッフも、この用途に使えます。

そのほかの注意点です。

  • 潮位の変化を把握しておく。 入ったときは歩けた場所が、戻るときには深くなっていることがあります(潮見アプリで確認できます)
  • サーフでは離岸流そのものが危険です。狙う対象であると同時に、足を取られる場所でもあります
  • 暗い時間帯の単独行動は避け、無理のない範囲で

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