逃がした魚はどうなるのか:どこに掛かったか、何秒空気にさらしたか、どう掴んだか

リリース後の生存率で、いちばん効くのはフックが掛かった場所です。チヌークサーモンでは顎2.3%、目0.0%、鰓81.6%。空気にさらす時間には閾値があり、大きい魚ほど短時間で影響が出ます。フィッシュグリップの穴は3週間で治りましたが、治らなかったものが1つあります。

この記事の見出し

逃がした魚が、そのあとどうなるかは測られています。

リリース後の生存率を追った研究は数多くあり、フックが掛かった場所、フックの種類と大きさ、出血の有無、空気にさらす時間、水温、魚の大きさといった条件ごとに数字が出ています。フィッシュグリップで下顎に開く穴についても、実験室で追った研究があります。あの穴が治るのか、その後の生存に効くのかまで測られています。ラインブレイクで残ったルアーがその後どうなるかも、ルアーの中に発信機を入れて追いかけた研究があります。

調べて書いた記事です。数字は、すべて他人が測ったものです。そしてスズキで測られたものは、見つけられませんでした。

先に結論を書きます。いちばん効くのは、どこに掛かったかです。扱い方はその次です。

どこに掛かったかで、生死が変わります

釣りによる死亡の主な原因は、フックの傷だとされています。口の前のほうに掛かれば小さな刺し傷で済みますが、食道、胃、鰓、目といった敏感な組織に掛かると、物理的な損傷と出血が起きます。

部位ごとに死亡率を出した研究があります。

Lindsayら (2004)は、オレゴン州のウィラメット川でスプリングチヌークサーモンを対象に、標識を付けて実験的に釣った869尾と、魚道で捕まえた対照825尾の再捕獲を比べ、部位ごとの死亡率を推定しました。

フックが掛かった場所標識した尾数その場所に掛かった魚の死亡率95%信頼区間釣れた魚全体のうち、その場所に掛かる割合
顎6332.3%-6.8%から11.3%81.5%
舌3917.8%-10.3%から45.8%5.1%
目150.0%-56.4%から42.5%0.4%
鰓11281.6%72.5%から90.7%5.1%
食道・胃7067.3%52.3%から82.2%7.8%

信頼区間の列を、必ず見てください。

95%信頼区間とは

測った値そのものより、この幅のほうが大事なことがあります。

同じやり方で何度も調べ直したとして、そのたびに出る幅のうち95%が、本当の値を含む。そういう範囲です。調べた尾数が少ないほど、幅は広くなります。

使い方は単純です。

  • 幅が狭ければ、その数字は当てになります
  • 幅が広ければ、その数字はほとんど何も言っていません
  • 幅の中に0が入っていれば、「実は0かもしれない」を捨てられません

マイナスの値が出ているのは、計算のしかたによるものです。この研究は、釣った魚の再捕獲率を対照の再捕獲率で補正して死亡率を出しています。そのため計算上はマイナスになることがあり、論文も0未満は0と見なすと注記しています。

読み取れること

鰓と食道・胃だけが、0から明確に離れています。鰓は最低でも72.5%、食道・胃は最低でも52.3%。この2つは確かに危険です。

顎、舌、目の3つは、統計的には0と区別できません。論文もそう書いています。「顎2.3%、舌17.8%、目0.0%」という並びは、順位のように見えますが、この3つのあいだに差があるとは言えません。

鰓に掛かると、5尾に4尾が死にます。食道や胃なら3尾に2尾。

顎の2.3%と比べれば35倍ですが、顎の値そのものが0と区別できないので、この倍率は目安です。確かなのは、顎が最大でも11.3%、鰓が最低でも72.5%で、2つの幅がまったく重ならないということです。食道・胃の最低52.3%とも重なりません。

目の0.0%は、信じないでください

目に掛かったのは15尾です。信頼区間はマイナス56.4%から42.5%まであります。幅が広すぎて、何も言えていません。

そして、別の研究では逆の結果が出ています。同論文が引くカリフォルニアの海の釣りの調査では、目の損傷による死亡率が46%と報告されています。発生率は6%。サークルフックは目から外しにくい、とも報告されています。

目に掛かっても安全、とは読まないでください。この記事で言えるのは、ウィラメット川の15尾では死亡が確認されなかったというところまでです。

右の列も大事です

実際の釣りでは81.5%が顎に掛かります。危険な場所に掛かるのは、鰓が5.1%、食道・胃が7.8%。ほとんどの魚は、いちばん安全な場所に掛かっています。

この漁業全体での死亡率は、野生のチヌークで12.2%と推定されています。

別の魚でも、向きは同じです

研究結果
Alósら (2008)、地中海の Trachynotus ovatus食道・胃・鰓に掛かった魚の85%以上が、2時間の保持中に死亡。全体の死亡率は0から17.9%と低い
Myers and Poarch、テキサスのオオクチバス喉48%、鰓17%、口20%の死亡率。8月の高水温下で72時間保持
同論文が引くケナイ川とアラスカのトロール漁業鰓で73%、83%から85%

数字は研究によってばらつきます。ただし、深いところほど危ないという向きは、どの研究でも同じでした。

出血しているかどうかが、次の指標です

掛かった場所が見えないときでも、出血なら見えます。

Myers and Poarchがテキサスのオオクチバス180尾を調べた研究では、出血していた魚の50%が死に、出血していなかった魚では20%でした。出血の頻度も場所によって違い、喉が48%、鰓が50%なのに対して、口はわずか1%です。

シートラウトでも、同じ関係が測られています。Skovら (2023)は、フッキング位置と出血の関係を数えました。

下の表は死亡率ではありません。その場所に掛かった魚が、どれくらい出血していたかの内訳です。行ごとに3つを足すと100%になります。

掛かった場所出血しなかった割合軽く出血した割合強く出血した割合
口角61.3%35.5%3.2%
口の外側61.0%27.1%11.9%
口の奥75.0%0%25.0%
鰓33.3%0%66.7%
体(スレ掛かり)68.8%18.8%12.4%

鰓に掛かった魚は、3尾中2尾が強い出血でした。ただし鰓に掛かったのは3尾だけです。割合の見た目ほど、確かな数字ではありません。

同論文は、口の奥・鰓・食道に掛かった魚は、強い出血になるオッズが有意に高いと結論しています。

この研究では、26日から29日のあいだに死んだ魚はいませんでした。対照群も含めて全群0%です。水温4℃から10℃、全長40センチ未満という条件です。

そもそも、深く掛けない

ここまでで、深く掛かることがいちばん危ないと分かりました。では、深く掛かる確率は下げられるのか。

下げられます。

サークルフックでは、深掛かりが出ませんでした

Alósら (2008)は、地中海のバレアレス諸島でフックの種類と大きさを変えて調べました。

サークルフックを使った群では、死亡も深掛かりも観察されませんでした。

サークルフックは、飲み込まれても魚が泳ぎ出すときに滑って、口の端に掛かるように設計されたフックです。

フロリダの資料も、同じ方向を指しています。サークルフックとJフックを比べた複数の調査で、ヒラメ類の漁業を除くすべてで、サークルフックのほうが死亡率が低く、釣獲率が高いという結果でした。ストライプドバスでは深掛かりが4分の1に減り、Jフックのほうが出血を21倍起こしやすかったとされています。マグロ類とカジキ類では、90%が顎に掛かりました。

小さいフックのほうが、死亡率が高い

同じ論文の、意外な結果です。

フックの大きさ死亡率
14番と12番(小さい)高い
10番・8番・6番(大きい)低い

小さいフックのほうが飲み込まれやすいためです。

大きいフックのほうが掛かる魚のサイズが選ばれるので釣れる尾数は減りますが、1時間あたりの重量はあまり変わりませんでした。大きい魚が掛かるからです。

論文の結論は、大きめのフックを使うことです。放した魚の死亡が最小になり、小型魚が掛かること自体も減ります。バレアレス諸島の当局は、海洋保護区でフックの内側の幅を最低7ミリと定めています。

ルアー釣りは、もともと有利です

フロリダの資料に、こう書かれています。

ルアーは動いているので、魚が食った時点でフッキングが決まり、飲み込まれる前に掛かる。一方、生き餌や死に餌は動きが少ないので、魚はまず飲み込もうとします。餌を持って走らせると、飲み込まれる確率が上がります。

ストライプドバス、スポッテッドシートラウト、スヌークの調査で、フックが原因の死亡のほとんどが生き餌を使った場合だったとされています。

シーバスのルアー釣りは、この点では有利な側にいます。

深く掛かったら、フックを外さない

では、飲まれていたらどうするか。

資料の答えは、ラインを切ってフックを残す、です。ただし、切れば助かるという話ではありません。順に見ます。

まず、外すのと切るのを比べた数字

Fobert ら (2009) は、ブルーギルの食道に掛かったフックの扱いを比べました。浅く掛かった魚を対照にしています。

食道に掛かったときの扱いその群の48時間後の死亡率その群の10日後の死亡率
フックを外す33%44%
ラインを切って残す8%12.5%
(対照)浅く掛かった魚0%4%

48時間後で4倍、10日後で3倍以上の差です。ラインを切った群では、48時間後に45.5%、10日後に71.4%が、食道のフックを自分で吐き出していました。フックが残っていても餌は食べられ、10日後には成長に差がなくなっています。

スズキに近い魚でも、同じ結果です

フロリダ州魚類野生生物保護委員会が、スヌークで実験しています。

スヌークはアカメ科の魚で、バラマンディと同じ仲間です。体つきも、口を広げて吸い込む食べ方も、シーバスに近い側です。

深く掛かったスヌーク24尾を、半分に分けました。

扱い尾数死亡
フックを外した124尾
リーダーを切って残した120尾

外したほうは3尾に1尾が死に、切ったほうは1尾も死にませんでした。

ただし、24尾です。上で説明した信頼区間を、この数字に当ててみます。

扱い死亡率95%信頼区間
フックを外した33.3%9.9%から65.1%
リーダーを切った0.0%0.0%から26.5%

2つの幅は、9.9%から26.5%のところで重なっています。つまりこの24尾だけでは、差があるとは言い切れません。

この信頼区間は、私が計算したものです。元の報告には載っていません。

それでも、向きはブルーギルの実験と揃っています。同委員会は、深く飲まれていたらリーダーをフックの近くで切ること、長時間フックを外そうとするのは害のほうが大きいことが多いことを、釣り人向けの指針として出しています。

切っても、助かるとは限りません

ただし、切れば必ず助かるわけではありません。

上のチヌークサーモンの実験を思い出してください。実は、あの研究の著者らは餌釣りで鰓や食道・胃に掛かった魚については、ラインを切ってフックを残していました。「フックを残すほうが、外すより損傷が小さい」という当時の知見に従ったためです。

つまり、鰓の81.6%も食道・胃の67.3%も、すでにラインを切ったうえでの数字です。

切っても、鰓なら5尾に4尾が死んでいます。

「ラインを切れば助かる」ではありません。「外すよりマシ」です。深く掛かった時点で、勝負はかなり決まっています。

魚は、本当に自分で外すのか

外す魚がいます。そしてバーブ付きでも外します。ただし魚種によって、結果がまったく違いました。うまくいく側から見ます。

Broadhurst, Butcher and Millar (2019)が、オーストラリアのキチヌ属の魚(Acanthopagrus australis)で調べています。

151尾を釣り、そのうち116尾がフックを飲み込みました。使ったフックは6種類で、バーブ付きとバーブレスのJフック、バーブ付きとバーブレスのサークルフック。全部ラインを切って、42日間観察しました。

結果です。

  • 81尾、つまり70%がフックを排出しました
  • 死亡率はフックの設計に影響されませんでした。バーブの有無で差が出ていません
  • 死亡が多かったのは、フックを残したままの個体でした
  • 飲み込んだ魚の26尾、22%が死にました
  • 飲み込んだ魚は、対照より体重が減りました

同論文の結論は、ラインを切ることでこの魚の生存を最大化できる、というものです。

同じグループの別の報告によれば、この魚はフックを飲み込むと口掛かりより最大10倍死にやすく、飲み込んだフックを外した場合はさらに悪くなります。

ここまでが、うまくいく側の例です。

魚種によっては、まったく違います

Weltersbachら (2016)が、ヨーロッパウナギで同じことを調べています。深く掛けてラインを切ったウナギを、X線で23週間追いかけました。撮影したのは捕獲から0日、1日、3日、10日、24日、54日、115日、163日後です。

結果は、キチヌ属とは別物でした。

フックの大きさ163日後の脱落率
小さいフック41.2%
大きいフック0.0%

大きいフックは、163日経っても1つも落ちませんでした。そして魚が長いほど脱落率が上がりました。

さらに重い結果があります。23週間での死亡率は、27.3%から50.0%に達しました。フックの種類による差はありません。

死因も分かっています。死んだウナギの多くで、フックが胃を突き破っていました。そこから内出血が起き、消化液が体腔に流れ込んで臓器が壊れ、炎症を起こしていました。

ラインを切っても、半分近くが死んでいます。

同論文の推奨は、そもそも深く掛けないことです。非常に大きいフックを使い、アタリがあったら即座に合わせる。Alós らの結論と、向きが同じです。

人間が外すのと、魚が外すのとで何が違うのか

時間の掛け方が違います。

人間が引き抜くときは、一瞬で組織を裂きます。食道や胃の壁は薄く、血管が多い。バーブが付いていれば、返しが組織を引っかけながら出てくるので、裂ける範囲が広がります。その場で出血します。

魚が外すときは、何日も何週間もかかります。分かっているのは次の3つです。

起きること中身
排出傷の周りが炎症を起こして緩み、フックが動いて落ちる
腐食金属が錆びて弱くなる
被包フックが石灰化した組織に覆われ、体の中で無害化される

どれも、急に組織が裂けるわけではありません。ここが、引き抜くのとの違いです。

被包については、フロリダ州魚類野生生物保護委員会が説明を出しています。魚の治癒過程がフックを不活性な物質で覆う現象で、鋼や青銅のフックはステンレスやめっきしたものより早く拒絶または溶解されるとされています。

バーブ付きなら、なおさら切る

バーブ付きのフックを、鰓を通して抜く方法を調べた研究があります。

バーブ付きは、出血、鰓の損傷、食道の裂傷を起こしやすく、鰓から外すとそれらがさらに起きやすくなりました。そしてバーブ付きを鰓から外した群で、いちばん高い24%の死亡率が出ています。

同論文の結論は、バーブ付きで深く掛かった魚に対しては、ラインを切るのがいちばんリスクが低い、というものです。

バーブ付きだから外したほうがいい、ではありません。逆です。バーブ付きは引き抜くときの損傷が大きいぶん、切る側の利点が大きくなります。そして上のキチヌ属の実験のとおり、バーブ付きでも7割は自分で外します。

ただし、フックの材質が効きます

上の報告書は、タングステンや高炭素鋼のように腐食しにくいフック材が増えると、魚がフックを排出する能力が効きにくくなる懸念を挙げています。

腐食して落ちるという仕組みに頼るなら、錆びるフックである必要があります。

ラインが切れて、ルアーが残ったら

ここまでは、こちらがラインを切る話でした。切りたくないのに切れることもあります。ラインブレイクです。

残ったルアーは、一生その魚の口にあるのか。調べた研究があります。

ルアーの中に発信機を入れて、追いかけた

Pullen, Arlinghaus, Lennox and Cooke (2019)は、カナダのオピニコン湖でノーザンパイク51尾を使い、ラインブレイクを再現しました。

発想が変わっています。魚ではなく、ルアーを追いかけました。

全長90ミリの中空のクランクベイトを自作し、中に無線発信機を入れています。電池は3か月もちます。こうすると、いつルアーが落ちたかが分かります。落ちたルアーは水に浮くので、回収もできます。

パイクを選んだ理由も書いてあります。歯が鋭くてラインを切られやすいからです。

処理は4つと対照です。

処理掛けた場所フック
1下顎バーブ付き
2喉(舌の付け根)バーブ付き
3上顎と下顎の両方バーブ付き
4下顎バーブレス
対照ルアーなし—

魚は416から690ミリ、平均519ミリ。シーバス釣りで手にする大きさと重なります。

14日で、ほぼ全部落ちました

結果です。

  • 最初の1尾は、放流から125分後にルアーを落としました。浮いているのが見つかっています
  • 2尾は24時間後に、放流地点で見つかりました
  • 1尾を除いて、全部が14日以内にルアーを落としました
  • 落とさなかった1尾は、バーブ付きのフックが下顎に掛かった個体でした

「一生残る」ではありませんでした。

バーブがあると、長く残ります

脱落までの日数に、はっきりした差が出ました。

フックルアーが残っていた日数
バーブ付き5±3日
バーブレス3±1日

掛かった場所も効きました。下顎に掛かったものは長く残りました。上顎のほうは、差があるとまでは言えない結果です。

深く掛かった場合は、統計のモデルが収束せず、比べられませんでした。論文は、深掛かりも残る時間を長くするだろうと書いています。

それでも、死ぬ魚はいます

51尾のうち3尾、6%が死にました。信頼区間は2%から16%です。

3尾のうち2尾が、喉に深く掛けた個体でした。1尾は放流直後、1尾は3日後、もう1尾は上下顎に掛けた個体で6日後です。

死亡が少なすぎて、掛かった場所と死亡の関係はモデルにできませんでした。ただし論文は、残ったフックが放流後の死亡にいくらか寄与していることは明らかだと書いています。

ラインブレイクは、リリースとは条件が違います

論文が整理している点です。

項目普通のリリースラインブレイク
空気にさらすあるない
ファイトの長さ取り込むまで続く途中で終わる
手で触るあるない
口に残るものないルアーが残る

上の3つは、ラインブレイクのほうが有利です。空気にさらされず、手で触られない。ハンドリングは、釣りという出来事の中でもとりわけ負担が大きい部分だとされています。

そのぶん、ルアーが残るという負担だけが乗ります。

ルアーの浮力で説明が付くかどうか

面白い指摘があります。

この研究が使ったのは浮くルアーでした。同じパイクで中性浮力のラバーシャッドを使った別の研究では、放流後に魚があまり動きませんでした。沈むスプーンを使った水槽の実験では、魚がルアーを外そうとする行動がほとんど見られませんでした。

そしてスモールマウスバスの研究では、浮くルアーに対して魚は積極的に外そうとし、中性浮力のソフトプラスチックやジグにはあまり反応しなかったと報告されています。

浮くルアーのほうが、魚は嫌がって外そうとする。そういう説明が立ちます。ただし、これを直接比べた実験ではありません。別々の研究の結果を並べたときに、そう読める、というだけです。論文も、観察の違いはルアーの浮力によるものだろう、という書き方をしています。

シーバスに、そのまま当てはめられません

理由が3つあります。

1つめ。魚が違います。パイクは歯が鋭く、待ち伏せ型の捕食者です。論文はパイクと近縁のマスキーなら同じだろうと書いていますが、スズキは別の系統です。

2つめ。トレブルフックが1個です。この実験のルアーは後端にトレブル1個だけでした。シーバス用のルアーは2個や3個付いています。複数のフックが刺さった場合にどうなるかは、この研究では分かりません。

3つめ。ルアーの大きさが1種類です。90ミリのクランクベイト1種類だけで、フックの大きさやシングルとトレブルの比較はしていません。論文自身が、今後の課題として挙げています。

それでも、論文の結論はこうです。パイクについては、ラインブレイクでルアーが残っても、長期的な損傷は限られていると考えてよい。

そのうえで、こう付け加えています。バーブレスにすれば脱落は早まる。そして何より、太いラインやワイヤーリーダーを使って、ラインブレイク自体を起こさないようにするべきだ。

空気にさらす時間には、閾値があります

Brownscombeら (2022)は、カワマス337尾に釣りと同じ負荷をかけ、水温・空気にさらす時間・魚の大きさの3つを変えて、反射の異常と死亡を調べました。

反射の異常というのは、魚をひっくり返したときに体勢を戻せるか、といった項目です。これがうまくいかない個体は、その後死ぬ確率が高いことが複数の種で分かっています。

結果は3つです。

条件見つかったこと
空気にさらす時間30秒を超えると、反射の異常が増える
水温19.5℃を超えると、上の効果が強まる
魚の大きさ全長328ミリを超える魚は、10秒を超えただけで敏感になる

3つめが、シーバス釣りにいちばん効きます。32.8センチというのは、シーバスなら小型の部類です。測られた範囲がカワマスなので、そのままスズキに持ち込めるわけではありません。ただし「大きい魚のほうが空気に弱い」という向きは、覚えておく価値があります。

この3つは、別々に効くのではありませんでした。60秒から90秒の空気曝露は、0秒から30秒より反射の異常が強く、その90秒の中でも、19.5℃を超えるとさらに強くなりました。片方が悪いと、もう片方の影響も大きくなります。

死亡率まで測った実験もあります

上の研究が測ったのは反射の異常で、死亡率は6%と低いものでした。死亡率そのものを動かした実験もあります。

Ferguson and Tufts (1992) は、ニジマスを疲れ切るまで泳がせたあとで空気にさらし、12時間後に生きているかを比べています。

扱いその群の12時間後の死亡率
泳がせず、空気にもさらさない0%
疲れ切るまで泳がせただけ12%
泳がせたあと30秒、空気にさらす38%
泳がせたあと60秒、空気にさらす72%

空気にさらしているあいだ、血液中の酸素は8割以上減りました。30分後には、泳がせただけの魚と同じ程度に戻っています。

ただし条件を見てください。疲れ切るまで泳がせたあとです。普通の釣りより厳しい条件だと考えられます。それでも、30秒と60秒のあいだで死亡率が倍近くになっているという向きは残ります。

水温についても、カットスロートトラウトで死亡率が16℃未満なら1.5%、20℃を超えると60%になったという報告があります。

どれも冷水魚の数字です。スズキがどの水温で同じことになるかは分かりません。

目安として出ている数字

同じ報告書は、Cooke and Suski (2005) を引いて、空気にさらす時間は10秒未満が望ましく、長くても15秒から20秒という目安を挙げています。

写真を撮る時間だと思ってください。10秒は、思っているより短い時間です。

フィッシュグリップは、下顎に穴を開けます

ここからが本題です。シーバスの口の薄いところが破れる、あの傷の話です。

バラマンディの実験

Gould and Grace (2009)が、バラマンディで実験しています。この研究を選んだ理由が2つあります。

1つめ。バラマンディは、サイズがシーバスと同じ帯です。使われたのは全長53センチから102センチの個体。シーバス釣りで手にする大きさとほぼ重なります。

2つめ。バラマンディはスズキ目の魚で、同じように吸い込んで食べます。論文も、口の中を素早く広げて水ごと獲物を吸い込む、と書いています。

実験は3つの扱いを比べました。魚は先に泳がせて疲れさせてあります。

扱い尾数内容
グリップのみ10下顎をグリップで挟み、支えずに20秒吊るす
グリップと手11グリップで挟み、片手で腹を支えて水平に20秒
ネット10結び目のないネットで20秒持ち上げる

穴が開いた割合

扱い下顎の膜に穴が開いた割合
グリップのみ10尾中10尾。100%
グリップと手11尾中9尾。81%
ネット10尾中0尾。0%

3つの扱いのあいだには、はっきりした差がありました。ただしグリップの2つのあいだでは、統計的な差は出ていません。手で支えても、穴は開きます。

穴の大きさは、測られた4尾で2ミリから15ミリでした。論文はフックの傷と同程度だと書いています。

その穴は、治ります

冒頭に挙げた、開いた穴が治るのかという問いです。論文の答えははっきりしています。

すべての魚が、3日から5日のうちに餌を食べはじめました。そしてすべての穴が、3週間のうちに治ったように見えました。

3週間後の炎症の程度も測られています。0から3の点で採点したもので、グリップのみが平均1.1、手で支えたものが0.5、ネットが0.6。扱いとの関係は強くありませんでした。ネットの魚にも軽い炎症が2尾ありました。

死んだ魚は31尾中2尾です。どちらも10日後で、1尾はグリップのみ、1尾は手で支えた側でした。ただし死因は扱いではありません。同じ水槽の他の魚も同じ症状を出していて、著者らは海水性の白点虫の寄生だと考えています。水温が24℃から25℃に14日続いたことがストレスになった可能性も挙げています。

扱いによる生存率の差は、統計的に出ませんでした。

傷そのものは、直接魚を殺していません。論文はそう結論しています。

フックの傷のほうも、追われています

グリップの穴ではなくフックの傷を追った研究もあります。シートラウトを釣って26日から29日飼った実験です。

最後まで飼ったところ、33%の個体には傷の痕跡が残っていませんでした。残っていた個体でも、傷の治り方は釣り方と関係していて、フライで釣った魚とトレブルフックのルアーで釣った魚のあいだに差が出ました。フライのほうが、治りの点が良い側です。

そして、成長には差が出ませんでした。釣り方でも、フックが掛かった場所でも、出血していたかどうかでも、成長の伸びは変わりませんでした。出血した個体も、他と同じように大きくなっています。

傷の見た目と、その後の成長は、別々に動いていました。

ただし、治らなかったものがあります

X線を撮っていました。そしてここで、外から見えないものが出てきます。

下顎から吊るすと、頭のすぐ後ろの椎骨の間隔が広がりました。具体的には第2椎骨と第3椎骨のあいだ、腹側です。首の後ろのあたりだと思ってください。

扱い21日から24日後の椎骨のずれ
グリップのみいちばん大きい
グリップと手中間
ネットいちばん小さい

3週間経っても、元に戻っていませんでした。獣医が、関節の捻挫に相当する損傷だと判断しています。ただし関節炎のような変性は、3週間後の時点では見られませんでした。

外の穴は治り、中のずれは戻らなかった。これがこの実験でいちばん重い結果です。

スヌークでは、もっと重い話が出ています

同じフロリダ州魚類野生生物保護委員会の指針に、こう書かれています。

大きい魚を下顎だけで持ってはいけない。フィッシュグリップでも、素手でも。

理由が書いてあります。支えずに持つと、多くの大型魚、特にスヌークは「イスマス」を破断する。イスマスというのは、頭と体をつなぐ軟骨性の靭帯の束です。魚が餌を吸い込むとき、口を大きく開けて水ごと引き込む動作を支えている部分です。

ここが切れると、魚は餌を吸い込めなくなり、ゆっくり餓死します。

同委員会の指示は具体的です。下顎を片手で持ち、もう片方の手で腹を支えて水平にする。

バラマンディの椎骨のずれと、同じ話の別の形です。どちらも吊るすことで、頭と体のつなぎ目に無理がかかるという点で共通しています。そして、外からは見えません。

この指針は、査読された論文ではありません。ただし、バラマンディでX線が示したものと向きが揃っています。

論文は、この脊椎のずれが生存にどう効くかは分からないと書いています。電気ショックで脊椎を痛めた魚は成長が落ちる傾向があるものの、それが直接の死因になることはまれだ、という別の研究を引いています。

そして、対策も書いてあります。この損傷は主に重力によるものなので、水中でグリップを使うなら起きない、というのが論文の見方です。

穴が開いているあいだ、何が起きるか

3週間で治るなら問題ない、とは言えません。治るまでのあいだ、魚は餌を捕らなければなりません。

Gould and Grace は、下顎の薄い膜に穴が開くと吸い込む力の効きが落ち、捕食の成功率が下がるかもしれないと書いています。ただし直接測るのは難しい、とも書いています。

その9年後に、測った研究が出ました。

Thompsonら (2018)は、シャイナーパーチという小型の海水魚を使い、釣りで獲った10尾と、地引網で獲った10尾の食べ方を比べました。釣った側の口には傷があり、網で獲った側にはありません。

毎秒500コマの高速度カメラで捕食の瞬間を撮り、流体の計算と組み合わせています。

結果です。

測ったもの差
獲物が引き寄せられる最大速度傷のある群のほうが有意に遅い
口の最大の開き差なし
最大まで開くのにかかる時間差なし
顎の突出量差なし
捕食を始める距離差なし

口の開き方は同じなのに、獲物を引き寄せる力だけが落ちていました。穴が開いていると、口を広げても水がそこから入ってしまう。吸い込みが漏れる、ということです。

そしてもう1つ、著者らが正直に書いていることがあります。流体の計算で穴の効果を再現したところ、穴だけでは性能の低下を全部は説明できませんでした。釣られたこと自体が、別の経路でも食べ方に影響している可能性があります。

Gould and Grace が「難しい」と書いた問いに、部分的な答えが出た形です。ただしシャイナーパーチは全長15センチほどの魚で、傷はフックによるものです。フィッシュグリップの穴とは、位置も大きさも違います。

下顎の構造で、被害が変わります

同じことをしても、魚によって被害が違います。

Gould and Grace より前に、Danylchukら (2008)がボーンフィッシュで同じ実験をしています。結果はもっと悪いものでした。

支えずに持ち上げた個体は全部が傷を負い、水中で水平に保持した場合でも80%が傷を負いました。しかも大きな穴、裂傷、下顎の骨折まで起きています。バラマンディの「2ミリから15ミリの穴」とは程度が違います。

Gould and Grace は、この差の理由を口の構造に求めています。

魚下顎の構造
バラマンディ頑丈な骨と、筋肉のない薄い膜
ボーンフィッシュ骨が繊細で、筋肉が多い

そして、口の構造を見れば影響を予測できるかもしれない、と書いています。ただしそれを確かめるには、もっと多くの種で調べる必要があるとも。

スズキの下顎がどちらに近いかは、この記事では判断できません。

実験と、実際の釣りの違い

この実験には、釣りより穏やかな点と、厳しい点の両方があります。

穏やかな点。魚は網で獲られた個体で、フックの傷がありません。扱いの差だけを見るためです。実際の釣りでは、フックの傷に加えてグリップの穴が付きます。

そしてもう1つ。実験の魚は、水槽で追い回して平均115秒で動かなくなるまで疲れさせてありました。ところが実際の釣りでは、経験のある釣り人なら36秒から66秒で取り込みます。論文はここを指摘しています。線で釣った魚は、実験の魚よりも暴れている可能性が高い。暴れれば、傷は大きくなります。

厳しい点。空気にさらした時間は、処理の20秒だけではありません。総時間は平均95秒でした。上のカワマスの閾値からすると、かなり長い部類です。

スズキで測られたものは、見つかりませんでした

色覚、匂い、学習、警報物質、渦に続いて、ここでも同じ壁に当たりました。

マルスズキのリリース後の生存率を追った研究を、見つけられていません。この記事で使ったのは、次の魚です。

魚何に使ったか
チヌークサーモン部位別の死亡率
オオクチバス出血と死亡率
Trachynotus ovatusフックの種類と大きさ
スヌークラインを切るか外すか、イスマスの破断
ブルーギルラインを切るか外すか
キチヌ属、ヨーロッパウナギフックの排出
ノーザンパイクラインブレイク後のルアーの脱落
カワマス、ニジマス、カットスロートトラウト空気にさらす時間と水温
バラマンディ、ボーンフィッシュフィッシュグリップ
シートラウト傷の治り方と成長
シャイナーパーチ口の傷と吸い込みの性能

近いのは、バラマンディとスヌークです。どちらもアカメ科で、サイズと、口を広げて吸い込む食べ方がシーバスと共通しています。ただしスズキは別の科です。

資料が示していること

この記事で使った資料が、そろって同じ方向を指している点だけを並べます。効き目の大きい順です。

  1. 掛かった場所が、いちばん効きます。顎なら2.3%、鰓なら81.6%。信頼区間が重なりません。ただし掛かる場所は選べません。選べるのは、そのあとの扱いです。

  2. 深く掛けない工夫が、いちばん先に効きます。サークルフックでは死亡も深掛かりも出ませんでした。小さいフックのほうが死亡率が高いので、大きめを使う。そしてルアー釣りは、餌釣りより飲まれにくい側です。なお大きいフックは、いったん飲まれると落ちにくくなります。それでも2本の論文が大きめを勧めるのは、飲まれる確率そのものが下がるからです。

  3. 深く飲まれていたら、フックを外さずラインを切る。ブルーギルで48時間後の死亡率33%対8%、スズキに近いスヌークで4尾対0尾。バーブ付きでも同じです。キチヌ属の実験では、バーブの有無にかかわらず7割が自分で外しました。ただし、切っても鰓なら5尾に4尾が死にます。「外すよりマシ」であって「助かる」ではありません。魚種による差も大きく、ヨーロッパウナギでは163日で大きいフックが1つも落ちず、23週間で27.3%から50.0%が死にました。

  4. 出血していたら、扱いを最短にする。出血した魚の死亡率は、していない魚の2倍以上でした。

  5. 水から出している時間を短くする。10秒未満が望ましく、長くても15秒から20秒。大きい魚ほど短くする。

  6. 水温が高い日は、さらに短くする。19.5℃が1つの目安として出ています。

  7. ラインブレイクは、起こさないのがいちばんです。ただし起きても、パイクでは1尾を除く全部が14日以内にルアーを落としました。バーブレスなら平均3日、バーブ付きなら5日。太いラインとワイヤーリーダーで、そもそも切られないようにする。

  8. 吊るすなら、片手で腹を支えて水平にする。バラマンディの実験で、椎骨のずれが小さくなりました。穴が開く割合は、それでも81%です。フロリダの指針は、大きい魚を下顎だけで持つとイスマスが破断して餓死するとして、腹を支えることを求めています。

  9. 安全なら、水中でフックを外す。脊椎のずれは重力によるものなので、水中なら起きない、と論文が書いています。

  10. ネットは、下顎に穴を開けませんでした。ただしネットにはネットの問題があります。論文は、結び目のないネットでも鰭の損傷と鱗の脱落が起きることを別の研究から引いています。

  11. 傷の治り方は、フックによって違いました。シートラウトでは、フライのほうがトレブルフックのルアーより治りの点が良い側でした。ただし成長には差が出ていません。

どれも「こうすれば必ず助かる」という話ではありません。測られているのは死亡率と、傷の割合と、反射の異常までです。

分かっていないこと

スズキで測られたものはありません。 部位別の死亡率はチヌークサーモンとオオクチバス、出血はシートラウト、フックの種類は地中海の魚とフロリダの魚、空気曝露はニジマスとカワマス、フィッシュグリップはバラマンディとボーンフィッシュ、ラインブレイクはノーザンパイクです。

部位別の死亡率は、研究によって値が大きく違います。 鰓に掛かった場合、チヌークでは81.6%、テキサスのオオクチバスでは17%でした。魚も水温も方法も違うので、どちらが正しいという話ではありません。順位だけが共通しています。

目の死亡率0.0%は、15尾から出た値です。 信頼区間はマイナス56.4%から42.5%。別の調査では46%という報告もあります。目については、何も分かっていないと考えるほうが正確です。

顎・舌・目の3つは、統計的に0と区別できません。 「顎2.3%、舌17.8%」という差が本当にあるかは、この研究では言えていません。

シートラウトで鰓に掛かったのは3尾です。 66.7%という割合は、3尾中2尾のことです。

フィッシュグリップの穴が、その後の生存率にどう効くかは分かっていません。 バラマンディの実験は35日から38日で終わっています。論文自身が、内部と外部の損傷が生存や適応度に影響するかは判断できないと書いています。

スズキの下顎がどちらの型なのかを、私は調べていません。 バラマンディ型(頑丈な骨と薄い膜)なのか、ボーンフィッシュ型(繊細な骨と筋肉)なのか。ここが分かれば、どちらの結果に近いかの見当が付きます。

フックの傷とグリップの穴を、同じ魚で比べた研究を見つけられませんでした。 Gould and Grace は穴の大きさが「フックの傷と同程度」だと書いていますが、両方を負った魚を追った実験ではありません。

吸い込みの低下が、自然の中で何を意味するかは測られていません。 Thompson らも、この低下が野生での適応度や生存率にどう効くかは分からないと書いています。測ったのは水槽の中の1回の捕食です。

茨城の水温で測られたものではありません。 カワマスの19.5℃という閾値も、カットスロートトラウトの20℃という値も、冷水魚のものです。スズキがどの水温で同じことになるかは分かりません。

Ferguson and Tufts の38%と72%は、疲れ切るまで泳がせたあとの数字です。 普通の釣りと同じ条件ではありません。採血のための管も入れられています。

フックを残す判断が、いつでも正しいとは限りません。 報告書は、タングステンや高炭素鋼のように腐食しにくいフック材が増えると、魚が吐き出す能力が効きにくくなる懸念を挙げています。

フックの排出率は、魚種によって大きく違います。 キチヌ属は42日で70%が落ち、ヨーロッパウナギは163日で大きいフックが1つも落ちませんでした。そしてウナギは23週間で27.3%から50.0%が死んでいます。スズキがどちらに近いかは分かりません。

ウナギの実験は、餌釣りで深く掛けたものです。 ルアーのトレブルフックが胃に入った場合と同じかどうかは分かりません。

スヌークの実験は、24尾を12尾ずつに分けたものです。 私が計算した信頼区間は重なっており、この実験だけでは差があるとは言えません。元の報告に信頼区間は載っていないので、計算のしかたが元の解析と同じかどうかも確かめていません。

イスマスの破断は、水産当局の指針に書かれているもので、論文で数えられた例を見つけていません。

サークルフックとフックサイズの結果は、餌釣りのものです。 地中海の実験は餌釣りで、ルアーのトレブルフックは含まれていません。「大きいフックのほうが死亡率が低い」がトレブルに当てはまるかは分かりません。

ラインブレイクの実験は、トレブルフック1個のルアーで行われました。 シーバス用のルアーは2個や3個付いています。複数のフックが刺さった場合にどうなるかは分かりません。

ルアーの大きさも1種類だけです。 90ミリのクランクベイト1種類で、フックの大きさやシングルとトレブルの比較はされていません。

ルアーの浮力が効くという話は、比べた実験ではありません。 浮くルアーと沈むルアーで別々の研究があり、結果が違っていた、というだけです。論文も、説明できるかもしれない、という書き方をしています。

パイクとスズキは、別の系統です。 論文はパイクと近縁のマスキーなら同じだろうと書いていますが、そこまでです。

排出の仕組みを、私は原著で確かめていません。 炎症で緩む・腐食する・被包される、という3つは、水産当局の解説と、腐食を追った研究の記述から組み立てたものです。どれがどれだけ効くかは分かりません。

取り込みまでの時間を、私は測ったことがありません。 バラマンディの論文が引く「経験者なら36秒から66秒」はオーストラリアのバラマンディ釣りの数字です。

フィッシュグリップの製品による違いを、どの研究も扱っていません。 Gould and Grace は1つの機種しか使っておらず、特定の製品を推奨も否定もしないと明記しています。

リリース後に釣り上げた魚を追う方法を、私は持っていません。 「良く釣れるルアー」の正体で書いたのと同じで、自分の釣行で確かめられる問いではありません。

続けて読むなら

記事つながり
なぜ動きが変わった瞬間に食うのかスズキの耐泳速度の数字があります。疲れさせる時間を考えるときの材料です
カビボラは白点病なのかバラマンディの実験で2尾を殺したのは、海水性の白点虫でした。そちらで白点病を扱っています
「良く釣れるルアー」の正体自分の釣行では確かめられない問いの話です

使ったもの・参考文献

掛かった場所と出血

深く飲まれたときの対処

  • Techniques to Reduce Catch-and-Release Mortality (フロリダ州魚類野生生物保護委員会)— 全文を読みました。深く掛かったスヌーク24尾のうち、フックを外した12尾で4尾が死に、リーダーを切った12尾では死ななかったこと。魚がフックを拒絶・排出・被包できること、被包が治癒過程でフックを石灰化した不活性な物質で覆う現象であること、鋼や青銅のフックがステンレスやめっきしたものより早く拒絶または溶解されること。大きい魚を下顎だけで持つとイスマス(頭と体をつなぐ軟骨性の靭帯の束)が破断し、餌を吸い込めなくなって餓死すること。下顎を片手で持ち、もう片方で腹を支えて水平にすること。サークルフックがヒラメ類の漁業を除くすべてで死亡率が低く釣獲率が高いこと、ストライプドバスで深掛かりが4分の1になりJフックが出血を21倍起こしやすいこと、マグロ類とカジキ類で90%が顎に掛かったこと。ルアーは動いているので飲まれる前にフッキングが決まり、生き餌はまず飲み込まれること。ストライプドバス・スポッテッドシートラウト・スヌークで、フックが原因の死亡のほとんどが生き餌だったこと。生存率の例(タープン27尾中26尾、ボーンフィッシュ96%、スヌーク98%、スポッテッドシートラウト95%、レッドフィッシュ84から96%)。査読された資料ではありません。表の信頼区間は私が計算したもので、元の報告には載っていません
  • Broadhurst, Butcher and Millar (2019) Fate of yellowfin bream, Acanthopagrus australis after ingesting offset and/or inline barbed and barbless J and circle hooks. Fisheries Research 211, 183-190— 要旨のみ。リンク先は購読が必要です。 151尾のうち116尾がフックを飲み込み、ラインを切って42日間観察。81尾(70%)が排出し、死亡率はフックの設計に影響されず、フックを残した個体で死亡が多かったこと。飲み込んだ魚の26尾(22%)が死亡し、対照より体重が減ったこと。ラインを切ることで生存を最大化できるという結論。同グループの別報で、飲み込んだ個体は口掛かりより最大10倍死にやすく、飲み込んだフックを外すとさらに悪くなるとされていること
  • Weltersbach, Ferter, Sambraus and Strehlow (2016) Hook shedding and post-release fate of deep-hooked European eel. Biological Conservation 199, 16-24— 全文を読みました。オープンアクセスなので誰でも読めます。深く掛けてラインを切ったウナギをX線で23週間追跡(0・1・3・10・24・54・115・163日後)。163日後の脱落率が小さいフックで41.2%、大きいフックで0.0%と有意差があり、魚が長いほど脱落率が上がったこと。23週間の死亡率が27.3%から50.0%でフックの種類による差がなかったこと。死んだウナギの多くでフックが胃を突き破り、内出血と消化液の体腔への流入で臓器が壊れ炎症を起こしていたこと。非常に大きいフックとアタリ直後のフッキングで深掛かりを減らすことを推奨していること
  • Pullen, Arlinghaus, Lennox and Cooke (2019) Telemetry reveals the movement, fate, and lure-shedding of northern pike (Esox lucius) that break the line and escape recreational fisheries capture. Fisheries Research 211, 176-182— 全文を読みました。読んだのは著者側が公開しているこちらのPDFで、出版社のページは購読が必要です。全長90ミリの中空クランクベイトに無線発信機を仕込み、魚ではなくルアーを追跡。オピニコン湖でノーザンパイク51尾(416から690ミリ、平均519ミリ)、4処理と対照。1尾を除く全部が14日以内にルアーを落としたこと。最初の1尾は125分後、2尾は24時間後に脱落。落とさなかった1尾はバーブ付きが下顎に掛かった個体。バーブ付きは5±3日、バーブレスは3±1日で有意差。下顎に掛かったものは長く残る。3尾(6%、95%信頼区間2から16%)が死亡し、うち2尾は喉に深く掛けた個体。深掛かりの群はモデルが収束せず比べられなかったこと。ラインブレイクは空気曝露もハンドリングもない点で普通のリリースと違うこと。浮くルアーのほうが魚が外そうとするという指摘(スモールマウスバスの Henry ら 2009、中性浮力のラバーシャッドを使った Arlinghaus ら 2008、沈むスプーンを使った Pullen ら 2017 との比較)。トレブル1個・90ミリ1種類のみで、フックサイズやシングルとの比較はしていないこと
  • Influence of hook barbs on the “through-the-gill” hook removal method for deeply hooked Smallmouth Bass. Fisheries Research (2022)— 要旨のみ。リンク先は購読が必要です。 バーブ付きフックが出血・鰓の損傷・食道の裂傷を起こしやすいこと、鰓を通して外すとそれらが起きやすくなること、バーブ付きを鰓から外した群で最も高い24%の死亡率が出たこと、バーブ付きで深く掛かった場合はラインを切るのがいちばんリスクが低いという結論

空気にさらす時間と水温

フィッシュグリップと、傷のその後