重心移動の権利と独自性

大手は機構に名前を付けて詳しく説明するのに、小規模メーカーは書かないことが多い。特許で囲い込んでいるのだろうと考えて調べたら、原典は1986年の実用新案で、2001年に満了していました。

前に重心移動システムを調べた記事を書いていたとき、小規模メーカーが機構に触れないのは2つの理由だろうと考えていました。大手が特許で囲い込んでいるからと、アイデアが出尽くしていて新しい機構を作れないからです。

調べてみたところ、前者は違っていました。 もとの権利は2001年に切れていて、いまは誰でも使えます。

では何が残っているのか。小規模メーカーの重心移動システムはどうなっているのか。それがこの記事の中身です。

調べて書いた記事です。特許については、書誌事項(出願日・公開日・出願人・発明の名称)と公開されている要約までを扱います。請求項の範囲がどこまで及ぶかという判断は専門家の領域なので、踏み込みません。

まず、メーカーごとでどういう差があるのか

重心移動システムの記事で調べた範囲では、こうなっていました。

メーカー機構の説明
タックルハウスK-TENシステム。1987年からの経緯と発展まで公開
シマノジェットブースト。バネの働きと解決した課題を図解
ダイワ機構名に加えて「ベタ凪時は1ジャーク推奨」と使用上の注意まで
アイマMRD。磁石の反発という発想をプロスタッフが解説
メガバスLBO II。磁界への誘導固定
小規模メーカー言及されていることが少ない

小規模メーカーが言及しない理由

小規模メーカーがあまり言及しない理由としていちばん有力だと考えていたのが権利で押さえられているということです。これについては資料が見つかりました。

ダイワの重心移動システムの成り立ちを扱ったルアーマガジンの記事に、こう書かれています。

重心移動システムという概念そのものには特許はないものの、キモといえるウエイトをマグネットで固定するシステム(K−TENシステム)には特許が申請されていました。

そして、各社がどうしたかも書かれています。

特許は回避しないとね。コストかかりますからね。使用権を買うなんてことももちろん選択肢にはあると思いますが、そこをくぐり抜けて作るってのも技術者の腕の見せどころ。

つまり、考え方そのものは誰でも使えるが、「磁石で固定する」という具体的な実装は押さえられていたということです。

ダイワの答えが、ボディ内にワイヤーを通し、穴を空けたウエイトをそこに滑らせるという方式でした。同じ記事によれば、これがショアラインシャイナーR55の爆発的ヒットにつながります。

回避のために生まれた方式が、結果として別の利点を持ちました。 同記事はボディ構造が簡単になること、内部の体積を増やせることを挙げています。さらにダイワは、ウエイトを球から円筒に変えることで前後に分散させ、低重心化と省スペース化を実現し、より細身のミノーを作れるようにしたとのことです。

原典を確認しました

その権利がどういうものだったのか、特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)で確認できました。

項目内容
公報番号実公平3-15021(実用新案公報 Y2)
考案の名称擬似餌装置
出願番号実願昭61-115523
出願日1986年7月28日
公開番号・公開日実開昭63-20766 / 1988年2月10日
公告日1991年4月3日
実用新案登録番号第2039115号
補正の掲載1996年2月28日発行
出願人二宮正樹(個人)
考案者二宮正樹

特許ではなく実用新案でした。 そして出願人は会社ではなく、デザイナーである二宮正樹氏の個人名義です。

出願は1986年7月28日。K-TENの発売が1987年なので、発売の前年に出願していたことになります。

出願時と、登録時で範囲が違います

ここが今回いちばん興味深かった点です。出願したときの請求の範囲と、最終的に登録された範囲が違います。

出願時の登録請求の範囲は3項でした。

第1項 — 魚の形をした本体に、前後方向に長い中空部があり、その中で錘が中心線に沿って前後に動く。そして錘を保持する手段が中空部の前寄りにある。

第2項 — 錘が鋼球で、保持手段がそれを磁着する磁石である。

第3項 — 保持手段が、錘の一部に引っかかる係合部である。

第1項は保持手段の種類を限定していません。磁石でも、機械的に引っかける方式でも含まれます。この状態なら、重心移動という考え方そのものに近いところまで押さえていたことになります。

ところが、審査の過程で補正が入りました。1996年2月28日に発行された補正の掲載によれば、請求の範囲は1項に統合され、「錘が鋼球であり、保持手段がそれを磁着する磁石である」ことが必須の要件になりました。第3項にあった係合部の方式は削除され、それを説明していた実施例2と図面の第5図から第7図も削除されています。

つまり最終的に登録されたのは、鋼球と磁石の組み合わせに限られます

保持手段錘の形
出願時の第1項限定なし限定なし
登録された範囲磁石のみ鋼球のみ

先に引用したルアーマガジンの記事は「重心移動システムという概念そのものには特許はないものの、ウエイトをマグネットで固定するシステムには特許が申請されていました」としていました。登録された範囲を見ると、この説明は正確です。

そして、この限定が他社に道を残しました。磁石を使わなければよく、鋼球を使わなければよいわけです。シマノのバネ式は保持手段が磁石ではありません。ダイワが錘を球から円筒に変えたことも、鋼球という要件から外れます。重心移動システムの記事で、オモリを戻す方法がメーカーごとに別々の発想になっていると書きました。それぞれが具体的に何を避けたのかが、ここで見えます。

1986年の時点で、飛行姿勢が説明されています

公報の本文には、この機構がなぜ効くのかが書かれています。

従来のルアーは重心が中央か前部にあるため、投げたときに本体が回転して飛行中の姿勢が不安定になり、飛距離が伸びない。それに対してこの方式では、投げた瞬間に錘が慣性で保持から外れて後部へ移動し、本体は後尾を進行方向に向けた姿勢で飛ぶ

弓矢のような長さのある飛行物体は、先端が振れると飛距離が大きく短くなるが、先端が安定していれば飛距離も安定する、という説明も添えられています。

ルアーがテールを先端にして飛ぶという話は、1986年の時点で明確に書かれていました。 重心移動システムの記事飛跡シミュレーターで扱った内容の原典が、ここにあります。

さらに、実際に比較した結果も載っています。同じ条件で従来のルアーと飛距離を比べたところ、無風で30%(1.3倍)、逆風では2倍に伸びたとのことです。

この「逆風のほうが差が大きい」という点は、飛跡シミュレーターの計算とも合います。26gのルアーで、姿勢が安定した場合の飛距離を、乱れた場合の飛距離で割ると、こうなりました。

姿勢の乱れの大きさ(飛跡シミュレーターの設定値)飛距離の比(安定 ÷ 乱れ)、無風飛距離の比(安定 ÷ 乱れ)、向かい風5 m/s飛距離の比(安定 ÷ 乱れ)、向かい風10 m/s
30%1.47倍1.78倍2.46倍
50%1.77倍2.37倍4.35倍

向かい風ほど、姿勢を安定させる効果が大きくなります。 空気に対する相対速度が上がるぶん、姿勢の乱れによる抵抗の増加がより強く効くためです。40年前の公報に書かれた傾向が、いま計算しても同じ向きに出ます。

権利は2001年に切れています

満了日を計算します。

当時の実用新案法では、存続期間は出願公告の日から10年、ただし出願日から15年を超えないと定められていました。

公告日 1991年4月3日 + 10年 = 2001年4月3日
出願日 1986年7月28日 + 15年 = 2001年7月28日

短いほうが適用されるので、2001年4月3日に満了しています。すでに25年前です。

つまり現在は、この方式を誰でも自由に使えます。磁石で錘を固定するルアーを作っても、機械的に引っかける方式にしても、この権利に触れることはありません。特許で参入できないという説明は、いまの話としては成り立ちません。

では、冒頭の表に出た差はどこから来るのか。大手が説明しているのは、いずれも自社で開発した機構です。 タックルハウスのK-TENシステム、シマノのジェットブースト、ダイワのワイヤー式、アイマのMRD、メガバスのLBO II。どれも名前が付いていて、解決した課題まで書かれています。自社の発明だから、書くことがあるわけです。

一方、小規模メーカーは独自の機構を持っていません。誰でも使える方式をそのまま採用しているなら、機構名を出して説明する中身がないことになります。言及を避けているのではなく、語ることがない。私はそう考えていますが、ここは推測です。 メーカー側が理由を述べた資料は見つけていません。

では何が残っているのか。権利が生きていた15年ほどのあいだに、各社が別々の方式を確立してしまったということです。シマノのバネ、アイマの磁石の反発、ダイワのワイヤー。金型も生産設備も、その方式に合わせて作られています。権利が切れたからといって、いまさら方式を変える理由がありません。

権利そのものは消えても、その期間に固まった技術と設備は残ります。小規模メーカーが直面しているのは、失効した権利ではなく、この蓄積のほうだと考えられます。

元祖の出願が、後発の文献で拒絶されています

もう一つ、この分野の現状を示す事実があります。

タックルハウスは2010年に特許出願をしています。錘を前後だけでなく前後左右に動かし、遊泳中に重心が不規則に移動することで、周期的でない複雑な動きを出すというものです。

項目内容
公開番号特開2012-44963
出願番号特願2010-192463
出願日2010年8月30日
公開日2012年3月8日
出願人タックルハウス
発明者渋木英一
発明の名称ルアー

この出願は、2013年1月28日付の拒絶理由通知を受けています。理由を読むと、内容が具体的に書かれていました。

請求項1は、新規性がないとされました。 特許法29条1項3号です。引用されたのは特開2001-79号公報で、その段落15に同様のルアーが記載されている、という指摘です。

請求項2と3は、進歩性がないとされました。 特許法29条2項です。引用文献1に錘の左右移動を止める手段が書かれており、特開2004-121115号公報に磁石で錘を一時的に係止する手段が書かれている。この2つを組み合わせれば容易に発明できる、という判断です。

引用された2件はこちらです。

引用文献公報番号出願人出願日
引用文献1特開2001-79ダイワ精工1999年6月22日
引用文献2特開2004-121115デュエル2002年10月3日

重心移動システムを世に出したタックルハウスの出願が、後から参入した会社の文献を理由に拒絶されています。

拒絶の根拠になった文献は、権利になっていません

引用文献1の中身を確認すると、意外なことが分かりました。

項目内容
公報番号特開2001-79
出願番号特願平11-175227
出願日1999年6月22日
公開日2001年1月9日
出願人ダイワ精工
発明者早川賢
最終処分未審査請求によるみなし取下(2006年9月26日)

この出願は、審査を請求されないまま取り下げられたものとみなされています。 特許にはなっていません。

日本の制度では、出願しただけでは審査が始まりません。別に審査請求をする必要があり、期限内に請求しなければ取り下げたものとみなされます。この出願はその期限を過ぎています。

それでも、出願から1年半で公開されるという制度があります。公開された時点で、その内容は世の中に知られたことになります。そして知られている技術は、あとから誰かが同じものを出願しても権利になりません

つまり、権利にならなかった出願が、11年後に別の会社の出願を止めたことになります。特許の効力ではなく、公開されたという事実そのものが働いています。

引用文献2も、特許になっていません

引用文献2のほうも確認しました。

項目内容
公報番号特開2004-121115
出願番号特願2002-290884
出願日2002年10月3日
公開日2004年4月22日
出願人デュエル
発明の名称疑似餌

内容は、中空部の中を前後に動く錘を、前寄りの位置で保持しておくための係止手段です。激しいアクションをさせるとルアーが傾いて錘が後ろへ動いてしまい、泳ぎが不自然になる。それを防ぐために、底に当接部(錘が当たって止まる部分)と傾斜部を設けて錘を止めておく、という発明です。請求項3では、錘と保持部の一方を磁性体、他方を磁石にする構成が書かれています。

この出願も、2007年4月4日付で拒絶理由通知を受けています。 請求項1、2、4は先行する2件の公報に記載されているとして新規性がないとされ、請求項1から4は4件の文献から容易に発明できるとして進歩性がないとされました。

そして、その拒絶理由の中に、この記事の答えにあたる一文がありました。

錘と保持部に、磁石と磁性体を備えるように形成することは周知であり

2007年の時点で、審査官は「磁石で錘を保持することは周知である」と判断しています。 1986年に二宮氏が権利を取った方式は、20年あまり後には誰でも知っている技術として扱われるようになっていました。

つまり、タックルハウスの2010年の出願を止めた2件は、どちらも順調に権利になった出願ではありません。1件は審査を請求されずに取り下げたものとみなされ、もう1件は拒絶理由を受けています(その後どうなったかは確認していません)。それでも、公開されているという理由で、あとの出願を止める力を持ちます。

内容も、飛距離の話ではありませんでした

引用文献1が何を扱っているかも確認しました。飛距離のための重心移動ではありません。

ルアーの前と後ろに錘を1つずつ入れ、前の錘だけが左右と前後に動くようにする。そして誘導壁という傾斜した壁を設けて、動いた錘を左右の中央に戻す。目的は、首振りやシーソー動作をさせたとき、そして動きを止めたときに、ルアーが左右にふらつくのを防ぐことです。

審査官が指摘したのは、この錘が前後左右に動くという部分でした。タックルハウスの請求項1は「錘を前後左右に移動自在に収容する空間を備えたルアー」なので、そこが重なります。

目的は違っても、構造として同じであれば新規性は認められません。 一方は飛距離とアクションのため、他方はふらつきの防止のためでしたが、審査ではそこは問われませんでした。

引用文献1はふらつきの防止を目的とした出願で、K-TENの回避として作られたものではありません。この分野に様々な出願が積み重なっていて、そのうちの1つが構造として重なった、というのが実際のところです。

言えるのは、誰が先に始めたかに関係なく、新しく権利を取ることが難しくなっているということです。大手が権利で囲い込んで小規模を締め出している、という構図ではありません。

いまも出願は続いていて、特許になったものもあります

ここまでに出てきた3件は、いずれも特許になったことを確認できていません。ではこの分野の出願がすべて通らないのかというと、そうではありませんでした。

バスデイの出願は、拒絶理由を受けたあとに特許になっています。

項目内容
公開番号特開2021-112130
出願番号特願2020-4955
出願日2020年1月16日
公開日2021年8月5日
出願人バスデイ
特許番号特許第7376093号
状態特許登録済み。特許料を納付して権利が有効

経緯が公開されているので、順を追えます。

2023年8月16日、拒絶理由通知。 理由は2つでした。ひとつは請求項の書き方が不明確であること。もうひとつは、登録実用新案第3202084号に書かれている発明から容易に思いつくとして、進歩性がないとされたことです。

引用された実用新案は、ルアー内部の空間に錘を複数入れ、いちばん後ろの錘を磁石にして、磁性体の保持部に磁着させるというものでした。審査官は「錘を通すシャフトを設けることは当業者が適宜なし得る」「孔に遊びを持たせることも適宜設計し得る」と述べています。

2023年9月7日、意見書と補正書を提出。 ここでの主張が具体的です。

補正後の請求項では、錘の貫通孔をシャフトより大きくして、錘がシャフトに吊り下がる状態にすることを必須にしました。すると錘と磁着部のあいだに隙間ができ、接触せずに通過できます。摩擦も小さくなります。

そのうえで、引用された実用新案との違いをこう説明しています。あちらは錘が常に保持部に接触しながら動くため、磁力が伝わらないように残りの錘を非磁性体にする必要がある。こちらは錘本体と磁石が一体で、隙間があるから磁着しない。構造として別物である、と。

この主張が通り、特許になりました。

拒絶理由通知は終わりではありません。 補正して意見を述べ、認められれば特許になります。この記事の前半で扱ったタックルハウスとデュエルの出願が、その先へ進んだのかどうかは確認していません。

シマノは2023年にも出願しています

項目内容
公開番号特開2024-158561
出願日2023年4月27日
公開日2024年11月8日
出願人シマノ
状態審査請求済み、審査中

内容は、錘(公報では錘体と書かれています)が前後に繰り返し移動するときに、安定して動くようにするというものです。

公報の背景技術に、解決したい問題が書かれています。従来のこのタイプでは、錘体がガイド軸の上を前後に動き、リブ(ボディ内側の補強用の突起)に直接、繰り返しぶつかる。そこでボディ本体とは別の当接部材を置いて、錘体を受け止める構成にしています。

バネで戻す方式を確立したあとも、当たり方の改良を続けていることになります。

まとめると

小規模メーカーが重心移動システムの機構に言及しないのは、「アイデアが出尽くしたから新しい独自機構を作れない」からだと私は最初に考えていました。これは半分あたっていました

そして、大手が特許で囲い込んでいるのだろうとも考えていました。しかし、これは間違っていました。 もとの権利は二宮正樹氏個人が1986年に出した実用新案で、2001年4月3日に満了しています。いま磁石でウエイトを固定するルアーを作っても、誰にも止められません。

実際に起きていたのは、こういうことです。1986年に最初のやり方が権利で押さえられ、各社がそれぞれ別の方式を編み出した。権利が生きていた15年ほどのあいだに、方式ごとの金型と生産設備と、それを扱う技術が固まってしまった。権利が切れたあとも、その蓄積は残っています。

そして、新しく権利を取るハードルは上がっています。タックルハウス自身の2010年の出願が、ダイワとデュエルの公報を理由に拒絶されています。しかもその2件は、どちらも順調に権利になったものではありません。1件は審査を請求されずに取り下げたものとみなされ、もう1件は拒絶理由を受けています。権利になっていなくても、公開されていれば、あとの出願を止める力を持ちます。

2007年の審査では、磁石で錘を保持することは周知であると判断されています。1986年に権利になった方式が、20年あまり後には誰でも知っている技術として扱われるようになりました。

ただし、取れないわけではありません。 バスデイは2020年の出願で拒絶理由を受けたあと、錘をシャフトに吊り下げて磁着部との間に隙間を作るという構成に補正し、特許を取っています。先行技術との違いを具体的に示せれば通るということです。

つまり、こういう状況だと考えています。素直な発想はほぼ出尽くしていて、権利を取るには細部で違いを作り、それを主張する必要がある。 補正と意見書のやりとりには時間も費用もかかります。加えて、既存の方式を使おうにも設備と技術で差がある。

そう考えると、冒頭の表の差も説明が付きます。大手が書いているのは自社で開発した機構で、小規模メーカーにはそれがない。 言及を避けているのではなく、語る中身を持っていない。小規模メーカーがアクションなどで勝負するのは、この状況では自然な選択だと思います。

確かめられていないこと

登録後に権利が維持されたかどうかは確認していません。 実用新案は登録料を納めなければ途中で失効します。上の満了日は、法律上の上限まで維持された場合の日付です。

ルアーマガジンの記事は「特許が申請されていた」と書いています。 今回確認できたのは実用新案です。別に特許出願もあったのか、記事が両者をまとめて「特許」と呼んでいるのかは分かりません。

1986年の出願がなぜ補正されたのかは分かりません。 審査で先行技術を示されたのか、別の理由があったのか、公報からは読み取れませんでした。公報には参考文献として4件の先行文献が挙げられています。

2010年の出願がその後どうなったかは、拒絶理由通知までしか確認していません。 意見書や補正書が提出されたのか、そのまま拒絶査定になったのかは調べていません。特許にはなっていません。

デュエルの2002年の出願も、拒絶理由通知までしか確認していません。 その後に補正されて特許になった可能性は残ります。

権利範囲がどこまで及ぶかの判断はしていません。 1986年の実用新案についても、バスデイの特許についても、公報に書かれている文言を紹介するにとどめています。登録された範囲が他社の方式や製品を含むかどうかは、専門家が判断することです。

小規模メーカーが実際にどう判断したのかも分かりません。 設備と技術の蓄積、権利を取るハードルの高さという説明は、外から見て筋が通るように組み立てたものです。本人たちが語った資料は見つけられませんでした。

「小規模メーカーは書かない」という前提自体、私が数社を見た範囲の話です。 何社を調べて何社が書いていなかった、という数え方はしていません。

続けて読むなら

使ったもの・参考文献

  • ルアーの重心移動システム、開発技術者の知恵と工夫の裏話(ルアマガプラス)— K-TENの特許とダイワの回避設計、ウエイトの球から円筒への変化
  • K-TEN BLUEOCEAN(タックルハウス)— 1987年からの経緯
  • ジェットブースト(シマノ)— バネ式の機構と飛距離の実測値
  • 実公平3-15021「擬似餌装置」(実願昭61-115523、出願人 二宮正樹)— 重心移動システムの原典。特許情報プラットフォームで番号照会できます
  • 特開2012-44963「ルアー」(特願2010-192463、出願人 株式会社タックルハウス)および同出願の拒絶理由通知書(2013年1月28日起案)— 錘を前後左右に動かす発明と、その拒絶理由
  • 特開2001-79「ルアー」(特願平11-175227、出願人 ダイワ精工株式会社)— 誘導壁で錘を左右中央に戻す発明。上記の拒絶理由の引用文献1
  • 特開2004-121115「疑似餌」(特願2002-290884、出願人 デュエル)および同出願の拒絶理由通知書(2007年4月4日起案)— 錘を前寄りに保持する係止手段。上記の拒絶理由の引用文献2
  • 特開2021-112130「ルアー」(特願2020-4955、出願人 バスデイ株式会社、特許第7376093号)、同出願の拒絶理由通知書(2023年8月16日起案)および意見書(2023年9月7日提出)— 補正によって特許になった例
  • 特開2024-158561「ルアー」(出願人 シマノ)— 錘体が繰り返し当たることへの対策。審査中