結局どのカラーを選べばいいのか:計算で出した答え

カラーの効果は釣果では確かめられません。では何も言えないのか。水中で光がどの向きから来るかまで計算し、360通りの条件で総当たりしました。どの向きから見られても大きく外さない1色はパールでした。

この記事の見出し

ここまでカラーについて6本書いてきました。そのどれも、「この色が釣れる」とは書いていません。確かめる手段がないからです。

では何も選べないのか。そうではありませんでした。

釣果では確かめられなくても、計算できることがあります。その範囲で総当たりしました。

水中カラーシミュレーター 3Dの光の計算を使い、360通りの条件でコントラストを出した記事です。計算は自分で回しています (scripts/color_choice3d.mjs)。

何を基準にするか

先に、使わない基準をはっきりさせます。

釣果は使いません。「良く釣れるルアー」の正体で計算したとおり、バイト率1.0%と1.5%を区別するだけで約15,500投が必要でした。カラーの差はもっと小さいので、届きません。

「替えたら釣れた」も使いません。ルアーカラーは効くのかで計算したとおり、色を替えても何も変わらないという前提でも、その流れは7回に1回起きます。

使うのは、コントラストです。ルアーと背景の明るさの差。これは計算できます。

理由は自然界にない色に、なぜ魚は食ってくるのかにあります。捕食は検出と識別の2段階で、色が効くのは1段目です。そして検出は、背景との差で決まります。

コントラストとは何か

背景に対して、どれだけ明るさが違うかの割合です。式にするとこうなります。

コントラスト = (ルアーの明るさ − 背景の明るさ) ÷ 背景の明るさ

割り算しているのがポイントです。引き算だけだと、全体が暗い場面と明るい場面を比べられません。背景で割ることで、どちらの場面でも同じ物差しになります。

具体例です。背景の明るさを100とします。

ルアーの明るさ差コントラスト見え方
10000.00背景と同じ。輪郭が消える
90−10−0.10かすかに暗い
50−50−0.50はっきり暗い
150+50+0.50はっきり明るい
0−100−1.00真っ黒に見える
1,000+900+9.00暗い背景に白く浮く

暗い側は −1 で止まりますが、明るい側には上限がありません。暗い背景に明るいものを置くと、何倍にもなります。

色の順位を付けるときは、符号を外した大きさで比べます。背景より明るいか暗いかは問わず、離れていれば離れているほど見つけやすいとみなします。

この式は、スズキを使った実験でも使われています。岡本一・川村軍蔵・田中淑人 (2001)は、擬餌の輝度と背景の輝度を実測し、この形の式でコントラストを求めています。この論文は下の「クリアカラーをどう見るか」でも扱います。

「明るさ」はどう出すか

ルアーと背景それぞれについて、目に届く光を波長ごとに計算し、そこから明るさを出します。明るさは、人間の目の明るさの感じ方 (CIE の比視感度) で波長ごとに重みを付けて足したものです。緑のあたりにいちばん大きな重みがかかります。魚が同じ重みを持っているかは分かりません。この点は後で改めて書きます。

光は、来る向きで量がまったく違う

水の中では、光は上から多く来て、横や下からは少ししか来ません。そのため、同じルアーでも、上を向いた背、横を向いた横腹、下を向いた腹で、当たる光の量が大きく違います。

背景も、魚がどの向きから見ているかで変わります。見上げれば水面からの光、横なら水そのもの、見下ろせば暗い深み。

3D のシミュレーターは、この向きの違いを計算しています。光の粒を1つずつ水の中で散乱させて、どの向きからどれだけの光が来るかを数えたものです。計算のしかたはアプリのページに書きました。

沿岸の水 (Jerlov の 3C)、ルアーの水深2 m、魚まで1 m、昼光での値です。

空面に当たる光:腹 (真上を向いた背を1とした値)同:横腹背景の明るさ:横から見た水 (見上げた水面側を1とした値)同:見下ろした深み
晴れ (太陽の高さ60°)0.0360.1690.0830.030
曇り0.0400.2730.0700.020

腹に当たる光は背の4%ほど、横腹は17〜27%です。横から見た水は見上げた水面側の1割に届かず、見下ろした深みは2〜3%しかありません。このあと出てくる結果は、ほとんどこの表で説明がつきます。

下の総当たりの条件の全体では、腹に当たる光は背の0.016〜0.068倍、見下ろした深みの明るさは見上げた水面側の0.008〜0.418倍でした。

総当たりした条件

次の条件をすべて掛け合わせました。

変えたもの中身数
水の種類濁った外洋 (III) / 澄んだ沿岸 (1C) / 沿岸 (3C) / 濁った沿岸 (5C)4
光源昼光 / ナトリウム灯 / 白色LED昼白色3
空晴れ (太陽の高さ60°) / 曇り2
ルアーの水深と、魚までの距離1+0.5 / 2+1 / 3+2 / 5+3 / 8+5 m5
魚が見る向き見上げる / 横から / 見下ろす3

4 × 3 × 2 × 5 × 3 = 360通りです。

見る向きは3つに割り切りました。見上げるは真下から腹を、横からは真横から横腹を、見下ろすは真上から背を見る向きです。横から見るときは、太陽と直角の方位から見ています。見下ろすとき、魚の目はルアーより距離のぶんだけ浅くなります。水深と距離の組は、そのとき目が水面に近づきすぎない組にしました。

ルアーは7色です。

ルアー背横腹腹
レッドヘッド頭 (全長の30%) がレッド、残りがパール同じ同じ
チャートチャートチャートチャート
イワシ青灰銀白
ボラ灰色がかったオリーブ銀白
パールパールパールパール
ブラックブラックブラックブラック
ピンクピンクピンクピンク

塗装は、届いた光を四方に同じように返す面として計算しています。銀は、まわりの景色をそのまま映す鏡 (反射率0.9) です。ボラの背の色は、私が置いた値です。

結果:1位はブラックとパールで分け合いました

魚が見る向きコントラストが1位になった色 (120通り中の回数)
見上げるブラック 120
横からブラック 64、パール 56
見下ろすパール 120

360通りのうち、ブラックが184回、パールが176回の1位でした。ほかの5色は1回も1位になりません。

ただし、見上げる向きのブラックの1位には、ほとんど意味がありません。次の表のとおり、差がないからです。沿岸の水、ルアーの水深2 m、魚まで1 m、昼光での値です。

ルアーコントラスト、見上げる (見えるのは腹)、晴れ同、横から (横腹)、晴れ同、見下ろす (背)、晴れ見上げる、曇り横から、曇り見下ろす、曇り
パール−0.45+0.33+12.40−0.55+0.51+11.89
レッドヘッド−0.45+0.16+9.71−0.55+0.31+9.30
チャート−0.45+0.10+8.69−0.55+0.24+8.33
ピンク−0.46−0.09+5.75−0.55+0.00+5.49
イワシ−0.45−0.05+3.67−0.55−0.05+3.51
ボラ−0.45−0.05+1.76−0.55−0.05+1.68
ブラック−0.46−0.44−0.22−0.55−0.44−0.22

マイナスは背景より暗いこと、プラスは明るいことを表します。

見上げると、どの色も同じ影になります

見上げる向きでは、7色すべてが −0.45 から −0.46 に並びました。360通りのうち見上げる120通りで、いちばん目立つ色といちばん目立たない色の差は、コントラストで0.026以下です。

理由は上の表にあります。腹に当たる光は背の4%ほどしかありません。白く塗っても、返せる光がもともと少ない。そして背景は、いちばん明るい水面の側です。どの色も、明るい背景の前の影になります。

横から見ると、ブラックとパールが入れ替わります

横から見る向きでは、後ろの水が暗くなります。見上げた水面側の1割もありません。そこへ横腹には背の17〜27%の光が当たるので、パールの横腹は背景より明るく浮きます (+0.33、曇りなら +0.51)。ブラックは逆に、背景より暗く沈みます (−0.44)。

どちらが勝つかは、条件で入れ替わりました。

条件横から見たときの1位 (回数)
晴れブラック 44、パール 16
曇りパール 40、ブラック 20
濁った外洋 (III)パール 27、ブラック 3
澄んだ沿岸 (1C)パール 19、ブラック 11
沿岸 (3C)ブラック 20、パール 10
濁った沿岸 (5C)ブラック 30

曇りの日や澄んだ水ではパール、晴れの日や濁った水ではブラックが前に出ます。曇りの日は横から来る光が多く、横腹に当たる光が背の27%になります (晴れは17%。沿岸・水深2 m・距離1 m)。そのぶんパールの横腹が明るくなります。

イワシとボラの銀の横腹は、−0.05でした。縦に立った鏡に映るのは、見ている魚の後ろの水です。太陽と直角の方位では、その水は、ルアーの後ろの水とほぼ同じ明るさです。だから銀の横腹は、真横から見ると背景に溶けます。

見下ろすと、明るい色ほど大きく浮きます

見下ろす向きでは、背景は暗い深みです。そこへ、いちばん光の当たる背が向いています。パールは +12、チャートでも +9 になりました。

ブラックは −0.22でした。暗い深みよりさらに少し暗く見えます。消えはしませんが、7色の中ではいちばん背景に近い色です。

夜は「見下ろす」ではありません

ここで、間違えやすい点を書いておきます。夜だから背景が暗い、とはなりません。

向きと明るさは、別のものです。向きは魚とルアーの位置関係、明るさは光源の話です。

計算で確かめました。沿岸の水、ルアーの水深2 m、魚まで1 m で、見上げる向きの背景を1としたときの比です。

光源背景の明るさ (見上げるを1とした比)、晴れ、横から同、晴れ、見下ろす同、曇り、横から同、曇り、見下ろす
昼光0.0830.0300.0700.020
ナトリウム灯0.0750.0260.0620.017
白色LED昼白色0.0820.0290.0680.020

光源を変えても、3方向の比はほとんど変わりません。360通り全体でも、光源ごとの1位の回数は、昼光でブラック64・パール56、ナトリウム灯でパール63・ブラック57、白色LEDでブラック63・パール57でした。

理由は単純で、夜でも光は上から来るからです。月でも常夜灯でも、光源は水面の上にあります。だから夜も、見上げれば背景は明るく、見下ろせば暗い。全体が暗くなるだけで、上下の関係は変わりません。

ただし、この計算は常夜灯の光の色だけを替えたもので、光の来る向きは昼の空と同じにしています。常夜灯は1点から照らすので、実際には、上とそれ以外の差は昼より大きくなるはずです。これは推測です。

総合すると:1色ならパール

条件の重み付けで答えが変わるので、2つに分けます。

表の数字の読み方

このあとの表には、2つの数字が出てきます。どちらもコントラストの話です。

まず、その条件でいちばんコントラストが大きかった色を100%として、各色が何%だったかを出します。符号は外して比べます。

例です。沿岸の水、ルアーの水深2 m、魚まで1 m、昼光、晴れで、見下ろされている場合の値です。

色コントラスト (沿岸・水深2 m・距離1 m・昼光・晴れ・見下ろす)いちばん大きい色を100%とした割合
パール+12.40100%
レッドヘッド+9.7178%
チャート+8.6970%
ピンク+5.7546%
イワシ+3.6730%
ボラ+1.7614%
ブラック−0.222%

この割合を、360通りすべての条件で出します。ある色について、360個の割合が並びます。そこから2つの数字を作ります。

1つめ。360個のうち、いちばん小さかった数字。表では「いちばん悪い条件」と書いています。この数字は、想定が外れたときの被害の大きさを表します。想定が外れるというのは、魚が思っていたのと違う向きから見ていたということです。数字が大きい色ほど、外れても被害が小さくなります。

2つめ。360個の平均。よくある場面で強いかどうかを表します。

3つの向きを等しく扱うなら

パールです。

ルアーいちばん悪い条件での割合 (その場で最良の色を100%とした割合)360通りの平均
パール47%94%
レッドヘッド16%76%
チャート4%70%
イワシ3%45%
ボラ3%40%
ブラック0%63%
ピンク0%56%

どの向きから見られても大きく外さない1色は、パールでした。晴れだけで数えても (いちばん悪い条件で47%、平均93%)、曇りだけで数えても (50%、96%)、順位は変わりません。

パールが強い理由は、どの向きでも大きく外さないからです。見上げられれば、どの色も同じ影になります。横からならブラックと1位を分け合います。見下ろされれば1位です。

いちばん悪い条件の47%は、横から見られる、晴れた濁った水の場面です。そこではブラックの暗さのほうが目立ちます。それでも半分近くは残ります。

ブラックは、平均では63%あるのに、いちばん悪い条件では0%に近くなります。見下ろされたとき、深みの暗さに紛れるからです。

この順位は、比べ方を変えても動きませんでした。コントラストが大きくなるほど、見つけやすさの伸びは鈍るはずです。そこで、見えるぎりぎりのコントラストとの比の対数で点数を付け直しました (ぎりぎりの値は0.02、0.05、0.1の3通り)。平均で、どれもパールが1位 (96〜98%)、レッドヘッドとチャートが続きました。シーバスの見えるぎりぎりの値は分かっていないので、3通りを試しています。

表層しか引かないなら

パールとブラックが並びます。見上げると横からの2方向、240通りだけで数えた値です。

ルアーいちばん悪い条件での割合 (その場で最良の色を100%とした割合)240通りの平均
パール47%92%
ブラック32%93%
レッドヘッド16%74%
チャート4%68%

見上げる向きでは差がつかないので、横から見られる場面で決まります。晴れの日や濁った水ならブラック、曇りの日や澄んだ水ならパールです。

ベイト系が下位なのは、保護色だからです

イワシやボラの色が下位に来るのは、計算の欠陥ではありません。そう出るのが当然でした。

ベイトフィッシュの体色は、見つからないために進化したものだからです。

派手な魚は、なぜ食べられないのかで見たとおり、魚の体色には隠れるための仕組みが働いています。背中が暗く腹が白いという配置そのものが、その代表例です。

上から見られたときは、暗い背中が暗い深みに紛れる。下から見られたときは、腹が明るい水面の側の影になり、色の差が消える。横からは、銀の横腹が後ろの水を映して溶ける。計算でも、横から見たイワシとボラの銀の横腹は −0.05で、晴れの基準の条件では7色の中でいちばん背景に近い値でした。カウンターシェーディングと呼ばれる仕組みと、銀の鏡の効果が、私が計算している「向きごとの背景の明るさ」にそのまま対応しています。

つまりベイトの色は、コントラストを下げる方向に最適化されています。私の計算はコントラストが高いほど良いとしているので、下位に来て当然です。

ここに、ルアーの根本的な矛盾があります。

餌に似せれば、餌と同じくらい見つかりにくくなります。本物のベイトが群れの中に1匹紛れているなら、それでいい。しかし1個のルアーを見つけてもらいたいなら、逆効果です。

「ナチュラル系は気付いてもらいにくい」という釣り人のあいだの言い方は、この計算と一致します。

ただし、見つかりにくいことが不利とは限りません。ルアーカラーは効くのかで見たとおり、見つかりやすいものほど学習されます。ナチュラル系はスレにくいと言われますが、それも同じ理屈で説明できる可能性があります。

状況別に選ぶなら

1色に絞らず使い分けるなら、計算はもっと具体的な答えを出します。状況ごとの上位を並べます。候補は7色に、銀とゴールドを足した9色です。ゴールドは、金色 (画面の色で金色に見える色) を反射率に持つ鏡として、私が置いたものです。数字はコントラストで、晴れの値です。

見上げられているとき

状況 (昼光・晴れ)コントラストが大きい順に1位2位3位
澄んだ水 (1C)・水深2 m・距離1 mブラック −0.57ゴールド −0.56ピンク −0.56
濁った水 (5C)・水深2 m・距離1 mブラック −0.28ゴールド −0.28ピンク −0.28
沿岸 (3C)・水深3 m・距離2 mブラック −0.25ゴールド −0.24ピンク −0.24

どの状況でも順位はつきますが、差は0.01ほどです。最下位のパールも、澄んだ水で −0.55でした。見上げられているときは、色を選ぶ意味がほとんどありません。

横から見られているとき

状況 (昼光・晴れ)コントラストが大きい順に1位2位3位
澄んだ水 (1C)・水深2 m・距離1 mブラック −0.57パール +0.46ゴールド −0.33
濁った水 (5C)・水深2 m・距離1 mブラック −0.25ゴールド −0.14パール +0.13
濁った水 (5C)・ナトリウム灯ブラック −0.25パール +0.15ゴールド −0.12

晴れの日は、ブラックがどの状況でも1位です。曇りの日は、澄んだ水 (パール +0.82、ブラック −0.56) と沿岸の水深3 m (パール +0.22、ブラック −0.20) で、パールが1位になります。

見下ろされているとき

状況 (昼光・晴れ)コントラストが大きい順に1位2位3位
澄んだ水 (1C)・水深2 m・距離1 mパール +19.51銀 +17.95レッドヘッド +15.25
濁った水 (5C)・水深2 m・距離1 m銀 +6.14パール +4.28レッドヘッド +3.35
沿岸 (3C)・水深3 m・距離2 m銀 +5.96パール +4.49レッドヘッド +3.50

明るい色と銀です。上を向いた銀の背は、明るい水面の側を映します。曇りの日は、どの状況でも銀が1位でした (澄んだ水で +38.43)。

まとめると

状況選ぶ色
表層を引く。魚は下から見ているどれでも同じ
中層を引く。横から見られる晴れや濁りならブラック、曇りや澄みならパール
ボトムを探る。魚が上から見るパール、または銀
どれか分からないパール

光源では変わりませんでした。変えるべき条件は、まず魚が上にいるか下にいるか、横から見られるなら空と濁りです。

逆に紛れさせたいなら

ナチュラル系が良いとされる場面もあるので、コントラストが小さい色も出しておきます。その場でいちばん目立つ色を100%とした割合の、120通りの平均です。小さいほど紛れます。

魚が見る向き紛れやすい順に1位2位3位
見上げるどの色も98〜100%——
横からイワシ 9%ボラ 9%ピンク 18%
見下ろすブラック 2%ボラ 14%イワシ 28%

横からと見下ろす向きでは、ベイトに似せた色が紛れます。見上げる向きでは、紛れさせようとしても差が出ません。

これは、時間帯や水の色でカラーを替えるという一般的な言い方とは、違う整理になります。濁ったらアピール系、澄んだらナチュラル系、という分け方は、この計算からは出てきませんでした。

塗り分けるなら:背は銀、横腹はパール

背・横腹・腹を別の色にできるなら、どうなるか。チャート、ブラック、パール、ピンク、レッド、イワシの背の青灰、ボラの背の色、銀、ゴールドの9色で、9 × 9 × 9 = 729通りを総当たりしました。割合は、その場で729通りの中の最良を100%としたものです。

塗り分け (背/横腹/腹)いちばん悪い条件での割合 (その場で729通りの最良を100%とした割合)360通りの平均
銀/パール/どの色でも47%93〜94%
銀/ブラック/どの色でも32%94%
パール/パール/パール44%82%
パール/ブラック/ブラック32%83%

腹の色は、どれを選んでも数字が変わりませんでした。見上げられると、どの色も同じ影になるからです。

背は銀が最良です。見下ろされたとき、上を向いた鏡は、明るい水面の側を映します。横腹はパールにすると、いちばん悪い条件が上がります。ブラックにすると、平均は同じでも、曇りや澄んだ水の場面で負けます。

本物のベイトフィッシュと比べると、背の色が逆です。ベイトは背中が暗く、横腹が銀、腹が白い。見つけてもらいたいなら、背を明るく、横腹を銀でなく白くすることになります。

クリアカラーをどう見るか

クリアは、コントラストを下げる方向の色です。

透けるということは、ルアーの後ろから来た光がルアーを通り抜けて目に届くということです。つまり見かけの明るさが背景に近づきます。

パールの塗装を、透ける割合を変えて計算しました。沿岸の水、ルアーの水深2 m、魚まで1 m、昼光、晴れです。

見る向きコントラスト (沿岸・水深2 m・距離1 m・昼光・晴れ)、不透明同、3割透過同、6割透過同、9割透過
見上げる−0.45−0.31−0.18−0.04
横から+0.33+0.23+0.13+0.03
見下ろす+12.40+8.68+4.96+1.24

どの向きでも、透ける割合のぶんだけコントラストが小さくなります。3割透けると、コントラストは不透明のときの7割です。9割透過なら、見上げる向きと横からでは、ほぼ背景と同じです。

だからクリアは、この記事の基準では最下位の選択になります。見つけてもらうという目的には向きません。

しかし、それが狙いだとも言えます。引用した釣り人の記事は、クリア系をシルエットをぼやけさせる、小さく見せるカラーとし、周りが釣れていない厳しい状況に強いとしています。満月の夜や常夜灯まわりでの使用も挙げられています。

この使い方は、私の計算と矛盾しません。明るすぎる状況では、コントラストが高いことが不利になりうる。そのときに意図的に下げる手段として説明がつきます。

ただし、コントラストを下げたほうが釣れるという証拠は持っていません。計算できるのは「下がる」ところまでです。

そして、透明がよく狙われた実験があります

この記事の基準に対する反例です。

岡本ら (2001)は、スズキ10尾を屋外の水槽に入れ、背景色を白・赤・緑・青に変えながら、白・赤・緑・青・透明の5色の擬餌を同時に投入しました。数えたのは擬餌に突進した回数で、論文はこれを「食付き頻度」と呼んでいます。吻端で触れた「完全な食付き」と、触れる直前で止まるか向きを変えた「直前回避」を合わせた数で、総数は525回、うち115回が直前回避でした。

擬餌の色食付き頻度 (直前回避を含む。4つの背景色の合計、回)
白138
透明130
緑108
赤77
青72

透明が2位です。さらに、赤い背景と青い背景では、透明の回数がいちばん多くなりました。ただし多重比較 (Tukey 法) で差が有意だったのは一部です。赤い背景では、透明と白の差は有意ではありません。青い背景で有意だったのは青との差だけで、透明と白・赤・緑の差は有意ではありません。直前回避を除いて完全な食付きだけを数えると、青い背景では白と赤 (各27回) が透明 (22回) より多くなります (論文の表3、表4)。

岡本らは、擬餌の選択には擬餌と背景のコントラストが強く影響したと解釈しています。ただし、論文のコントラストの表と合わない結果も2つあります。白い背景ではコントラストが最も大きい青が17回と少なく、緑の背景ではコントラストが最も大きい白でも、色による差は有意ではありませんでした。論文はこの2つには触れていません。そのうえで、透明だけは説明できないと書いています。透明な物体は、どの背景色に対してもコントラストが小さいはずだからです。

挙げられている理由の候補は2つです。

1つめは、供試魚のコントラスト閾値が低い可能性。論文は、ブルーギルのコントラスト閾値がヒトより遥かに低いことを示した Kawamura and Shimowada の研究を引いて、ヒトには見えにくい透明な擬餌を供試魚は十分に視認できたのではないか、としています。スズキの閾値を測ったわけではありません。

2つめは、餌の履歴による学習。原文はこうです。スズキ稚魚の餌料生物となるアミ類、稚エビ、仔魚は色素が未沈着か非常に少ないため透明あるいは半透明であり、成長初期の摂餌によって透明の物体に興味を示すようになった学習効果の可能性である。

この記事は、見つけやすさをコントラストで測ってきました。上の結果は、コントラストが最も小さい選択肢が2位に来たということです。私の計算では、クリアは最下位でした。

ただし、条件は大きく違います。擬餌は長さ19ミリ・直径4ミリのペレットで、泳ぎません。水深70センチの水槽で、背景は人為的に作ったビニールシートです。投げて引く釣りとは別の場面です。

それでも、コントラストだけで見つけやすさを語れないことは、この実験が示しています。この記事の下のほうにある「コントラストだけで語ってよいのか」という節は、この実験によって具体的な裏づけを得たことになります。

強鱗やフラッシュブーストに効果はあるのか

見る向きによって、効いたり効かなかったりします。

狂鱗のようなホログラムや、フラッシュブーストのような反射機構は、まわりの景色を映す鏡です。鏡が返せるのは、映した先から来る光だけです。そこで、反射率0.9の鏡 (銀) が返す光の量を、向きごとに出しました。

状況銀が返す光 (上を向いた背の鏡を1とした値、360通り全体の範囲)コントラスト (沿岸・水深2 m・距離1 m・昼光・晴れ)
見上げられている (下を向いた腹の鏡)0.006〜0.036−0.45
横から見られている (縦に立った横腹の鏡)0.025〜0.109−0.05
見下ろされている (上を向いた背の鏡)1+13.57

見上げられているときは、ほぼ効きません。腹の鏡に映るのは暗い深みで、ほかの色と同じ影になります。

横から見られているときも、真横からでは光りません。縦に立った鏡に映るのは見ている魚の後ろの水で、その明るさはルアーの後ろの水とほぼ同じだからです。

光るのは、ルアーが傾いて、鏡が上の明るい水を映した瞬間です。ローリングやウォブリングで鏡の向きが振れると、横腹がそのたびに明るくなります。水中カラーシミュレーター 3Dで、ルアーを傾けると確かめられます。見下ろされているときは、上を向いた背の鏡が明るい水面の側を映すので、傾けなくても大きく浮きます。

ただし、この計算が扱えていないものが2つあります。

1つめ。明滅そのものが動きとして検出される可能性です。色が消える距離で、魚は何を頼りに餌を見つけているのかで見たとおり、視覚は動きにも反応します。一定の明るさより、点滅するほうが気付かれやすいかもしれません。これは計算できていません。

2つめ。ホログラムは、平らな鏡ではありません。細かい凹凸で、いろいろな向きに光を返します。腹側の鏡でも、斜め上から来た光を下へ返す部分があれば、平らな鏡の計算より光るはずです。

だから「効果がない」とは言えません。言えるのは、平らな鏡として計算すると、真下や真横から見られている状況での効果は説明できないということです。

撮影実験と照らし合わせる

この記事の計算を、実際の撮影と比べられる資料が見つかりました。ただし答え合わせではありません。条件が違いすぎるので、同じ向きを向いているかを見るところまでです。

Honda釣り倶楽部の「釣りの実験ラボ」が、色違いのルアーを並べた板を湖に沈めて、水中ドローンで撮影しています。

  • 場所は山梨県の西湖。平均透明度は8 m
  • 曇りの日中で、光は少なめ
  • スプーン13色とプラグ8色を、水深0 mから50 mまで沈める
  • 見え方は、映像を人が見て4段階で評価

写真を見る限り、板をほぼ正面から撮っています。この記事の分類では「横から」に近い状況です。

合っていること

背景が緑に写っています。10〜30 mの写真は、青ではなく緑です。自然界にない色に、なぜ魚は食ってくるのかに書いたとおり、いちばん澄んだ海を除けば、水の中に残るのは青ではなく緑です。

明るい青が早く消えています。スプーンでは、30 mで最初に見えにくくなったのが、暗い緑・茶・明るい青でした。濁ると青が先に消える、という計算と同じ向きです。

白と黒が、どちらも見えています。スプーンでは、20 mで最高評価を保ったのは黒だけで、白いスプーンも30 mまで見えていました。この記事の計算でも、横から見るとブラックは背景より暗く、パールは明るく浮き、曇りや澄んだ水ではパールのほうが目立ちました。そして40 mになると黒は見えなくなり、白・明るい黄・ベージュが残りました。深くなって背景が暗くなると、暗い色は背景に近づき、明るい色が残る。この記事の「背景の明るさで決まる」と同じ構図です。

合っていないこと

緑〜黄だけが残るわけでもありません。スプーンの30 mでは、明るい黄と明るい緑が一段下がった一方で、金とオレンジはまだ見えていました。金は光を鏡のように返す塗装です。この記事の計算では、真横から見た金の鏡は、映った水の明るさに金色がかかるぶん、背景より暗くなります (沿岸・水深2 m・距離1 mで −0.25)。撮影の板がカメラに対して少し傾いていて、明るい上の水を映していたのかもしれません。これは推測です。オレンジが残った理由は分かりません。蛍光の塗料なら理由の一つになりえますが、塗料の種類は書かれていません。

グローは別枠です。50 mで唯一残ったのはグロー (夜光) でした。自分で光るので、この記事の計算には入っていません。

色より効いていたもの

プラグは、8色とも同じように色褪せていきました。模様の入ったルアーでは、どの深さでも色のあいだの差がほとんど付かなかったということです。

そしてスプーンもプラグも、40 mで大半が見えにくくなり、50 mではグロー以外のすべてが見えなくなりました。これはコントラストの話ではありません。光の量そのものが足りなくなったためです。コントラストは明るさの比なので、光が減っても、それだけでは下がりません。この記事の計算もシミュレーターも、暗すぎて見えないかどうかは判定できません。水中カラーシミュレーターの「できないこと」に書き足しました。

実験の担当者は、この撮影で早く見えなくなった地味な色のほうが、管理釣り場ではよく釣れたという体験も書いています。体験談なので証拠にはなりませんが、下の「見つかりやすいことには、代償があります」と同じ向きの話です。

この撮影で言えること、言えないこと

カメラの映像です。魚の目ではありません。映像を人の目で評価しています。その点では、人間の目の感度で明るさを測っているこの記事の計算と、同じ弱点を持っています。

淡水の湖で、1日だけ、曇りの日の撮影です。河口や港湾とは水が違います。

試しているのは深さで、見る距離ではありません。板ごと沈めて、カメラはそばにあります。

シーバスで意味があるのは、20 mまでの段です。それより深い段は、ジグやテンヤの話になります。

それでも、計算と撮影が3点で同じ向きを向いたことは、書いておく価値があると思います。

コントラストだけで語ってよいのか

語れません。ここは正直に書きます。

見つかることと、食うことは別です

自然界にない色に、なぜ魚は食ってくるのかで書いたとおり、捕食は検出と識別の2段階です。この記事の計算は、1段目しか扱っていません。

そして色が消える距離で、魚は何を頼りに餌を見つけているのかで見たとおり、視覚が効くのは1 m前後で、そこには側線も同時に効いています。

近づくほど、情報が増えます。遠くでは明暗と動きしか分からなかったものが、数十cmでは形も、水の動きまで分かる。「やっぱり違う」と判断する材料が、近づくほど揃っていきます。

追ってきて反転する、バイトが浅い。そういう現象は、この2段目で起きているはずです。

ただし、色との関係は分かりません。シーバスが接近後に見切る現象を、色と結びつけて調べた資料は見つけられませんでした。「不自然な色だから見切られる」という因果を示す根拠は持っていません。

逆の可能性もあります。超正常刺激の枠組みでは、自然界にない刺激のほうが強い反応を引き出すことがありました。イトヨは腹だけ赤い模型より、全身が赤い模型を強く攻撃します。近づいて不自然だと分かることが、必ず拒否につながるとは限りません。

見つかりやすいことには、代償があります

もう一つ、この記事の枠組みが扱えていないものがあります。学習です。

釣り人のあいだで「派手なカラーは寄せるがスレるのも早い」と言われます。この前半と後半は、別の話ではありません。同じことの裏表です。

魚が釣り具を学習することは、実験で確かめられています。マダイの稚魚を使った研究は、釣り具を避ける学習能力を報告しています。コイでは、1回の被釣獲経験で避けるようになることが示されました。

そして、忘れます。同じ研究によれば、コイの学習した回避行動は7か月後には対照群の水準まで戻っていました。別の研究をまとめた記述では、強化がなければ8日から55日で忘れるとされています。

ここが重要です。この記事の計算は「見つかりやすさ」を最大化する方向で答えを出しました。しかし、見つかりやすいものほど、多くの魚に見られます。見られた回数だけ、学習の機会が生まれます。

つまり、コントラストを上げることには代償があります。短期的には見つかりやすく、長期的には覚えられやすい。

この代償は、私の計算には入っていません。そして、入れる方法もありません。その場所の魚が何回そのルアーを見たかを、私たちは知らないからです。

同じ場所に通う人ほど、この代償を負っているはずです。これは推測ですが、筋は通っていると思います。

だから、この記事の答えは条件付きです

「初めてそのルアーを見る魚に対して、どの向きから見られても大きく外さない色」が、この記事の答えです。それがパールでした。

すでに何度も見られている場所では、答えが変わる可能性があります。どう変わるかは、計算できません。

もう一つの穴:向きが分かりません

ここまでで、食うかどうかと学習という2つの穴を書きました。もう一つあります。

結果は、見る向きでほとんど決まりました。そしてその向きを、私たちは知りません。

「見上げられていることが多いはず」は推測です。表層をルアーが通るなら魚は下にいるだろう、という理屈だけで、確かめていません。シーバスがルアーをどの位置から見ているかを調べた資料は見つけられませんでした。

見上げられているなら、色はほとんど関係ありません。見下ろされているなら、明るい色と銀が目立ち、ブラックは紛れます。パールは、どちらの向きでも大きく外さない色として選びました。

そして、この結論が正しいかどうかは確かめられません。冒頭に書いたとおり、釣果で検証するには投数が足りないからです。

まとめ:計算と通説を並べる

計算で出た答えと、釣り人のあいだで言われていることを並べます。

通説の出どころは3つです。めしだ氏の記事 (以下A)、アングラーズスタートの記事 (以下B)、TSURI HACKの読者調査 (以下C)。個人の書き手による記事が2つと、読者アンケートが1つです。学術的な調査ではありません。

コントラストが小さい色も並べます。ナチュラル系が良いとされる場面があるので、背景に紛れる方向の答えも出しておく必要があると考えました。

状況計算から出たコントラストの大きい色計算から出たコントラストの小さい色良いとされている色出どころ一致するか
1色だけ選ぶならパールイワシ、ボラコットンキャンディC大きい色と方向は合う
表層を引く。魚は下から見るどれでも同じどれでも同じ新月の夜はブラックA比較できず
中層。横から見られる晴れや濁りならブラック、曇りや澄みならパールイワシ、ボラ夜はシルエットと反射が効くBシルエットと合う
ボトム。魚が上から見るパール、銀ブラック、ボラ見当たらず—比較できず
濁った水横から見られるならブラック同左の逆ゴールド系、チャートA、B違う
澄んだ水横から見られるならパールが多いイワシ、ボラナチュラル系、クリア系A、B小さい色と方向は合う
昼向きで決まる。光源では変わらない同左ナチュラル系、クリア系A小さい色と方向は合う
夜 (常夜灯あり)向きで決まる。光源では変わらない同左チャート、レッドヘッドAどちらとも違う
塗り分けられるなら背は銀、横腹はパール。腹はどれでも背を暗く、横腹を銀に (本物のベイトと同じ)チャートバックパール (背中チャート、腹パール)B腹は合う。背は違う

「良いとされている色」は、私が3つの記事から拾ったものです。釣り人を対象に調べたわけではないので、どれだけ広く共有されている考えなのかは分かりません。コットンキャンディは、白っぽい地にピンクや黄の入った明るいカラーなので、パールと同じ向きと見ました。

大きく食い違ったのは、水の濁りと時間帯です。

通説では濁ったらアピール系、澄んだらナチュラル系という分け方が広く共有されています。ある記事は「デイでも濁り→ゴールド系」「ナイトでも澄み潮→ブラック」という組み合わせで釣果が分かれる、としています。

私の計算では、光源は順位を変えませんでした。濁りは、横から見られる場面でだけ、ブラックとパールの順を入れ替えました。濁るとブラック、澄むとパールで、通説のアピール系とナチュラル系の分け方とは別の軸です。

この食い違いは、私の計算が扱っていないものから来ている可能性があります。

1つめ。スレです。通説は「澄み潮では目立つカラーがスレを招く」としています。私の計算は見つかりやすさだけを見ていて、学習を扱えていません。澄んだ水で目立つ色が不利なら、それはコントラストではなく学習の話かもしれません。

2つめ。識別です。濁ると見切られにくい、という言い方があります。これは検出ではなく識別の段階の話で、私の計算の外にあります。

3つめ。私の前提が誤っている可能性です。向きで決まるという結論自体、「魚がどの向きから見ているか」を確かめずに置いた枠組みの上に乗っています。

塗り分けは、腹だけが合いました。チャートバックパールは背中がチャート、腹がパールという配置で、定番として広く使われています。私の計算では、腹はどの色でも同じでした。背は、チャートより銀やパールのほうが、見下ろされたときに目立ちます。

どちらが正しいかは、確かめる方法がありません。冒頭に書いたとおり、釣果で検証するには投数が足りないからです。

一致した部分もあります。中層で横から見られるときのブラック、シルエット重視という考え方は、晴れや濁りの場面の計算と同じ方向を向いていました。

それでも、書く価値はあると思っています

根拠の種類が違うからです。

「あの色で釣れた」は、7回に1回は偶然でも起きます。一方、「沿岸の水深2 mで、1 m先から横に見られたとき、晴れならブラックのコントラストは −0.44、パールは +0.33」は、条件を書けば誰でも再現できます。

確実に釣れる色は分かりません。でも、確実に背景に溶ける色は分かります。真横から見られたときの、イワシやボラの銀の横腹がそれでした。コントラスト −0.05です。

外さないための根拠としてなら、使えると考えています。

ただし、外さないというのは、見つけてもらうまでの話です。そこから先、食うかどうか、覚えられて避けられるようになるかどうかは、この計算の外にあります。

最後に、私自身のこと

こんなに長々と書いてこんなことを言うのも何ですが、私自身はカラーをあまり重視していません。

ふだんよく使っているのはボラカラーです。この記事の計算では下位の色で、私の他の使用カラーもインスピレーションで選んでいます。それ以上の理由はなく、カラーはあまり重視していません。

それでも困っていません。「良く釣れるルアー」の正体で計算したとおり、カラーの差を自分の釣行で確かめることはできません。確かめられない差を気にするより、投げている時間を増やすほうが確実だと考えています。

この記事は、カラーを選ぶ根拠がほしい人のために書きました。何を選んでも同じだと言いたいのではありません。計算できることは計算した、というだけです。

そして計算の結論は、私自身の選択を支持していません。それでいいと思っています。

確かめられていないこと

コントラストの計算に、人間の目の感度が入っています。明るさを出すときに、人間の目の明るさの感じ方 (CIE の比視感度) で波長ごとに重みを付けています。緑のあたりにいちばん大きな重みがかかります。魚が同じ重みを持っているかは分かりません。魚は色をどう見ているのかで見たとおり、キンギョの長波長錐体は623 nmで、人間の赤の錐体より64 nm長い波長にあります。

この点は、色の付いたものの順位に効きます。チャートは黄緑で、緑の重みの恩恵をいちばん受ける色です。魚の重み付けが違えば、チャートの評価は動く可能性があります。

一方、パールとブラックの順位は動きにくいはずです。どの波長でも明るい、どの波長でも暗いという性質によるものだからです。

見る向きを3通りに割り切っています。見上げれば腹だけ、横からは横腹だけ、見下ろせば背だけ。実際には斜めから見ることのほうが多いはずで、その場合は中間になります。横から見るときも、太陽と直角の方位だけで計算しています。太陽の側を向いた横腹には、もっと多くの光が当たります。

面は平らな面として扱っています。丸みのあるボディでは、同じ面でも場所によって受ける光が違うはずです。アプリの絵は丸い胴で描いていますが、この記事の数字は平らな面の値です。

フラッシングは、平らな鏡として扱っています。実際のホログラムが、どの向きにどれだけ光を返すかを測った資料は見つけられませんでした。

ボラの背の色とゴールドの色は、私が置いた値です。ボラは灰色がかったオリーブの背、銀の横腹、白い腹、ゴールドは金色を反射率に持つ鏡としました。実際のカラー展開はもっと多く、同じ名前でも色は製品ごとに違います。

塗装の分光反射率は、画面の色から仮に作っています。写真で同じ色に見える2つの塗装が、水中で同じに見えるとは限りません。

クリアカラーの透過率は、仮に置いた値です。実際の製品がどれだけ透けるかは測っていません。透けるほどコントラストが下がるという方向だけが言えます。

常夜灯は、光の色だけを替えています。1点から照らす光の向きは計算していません。

光の計算そのものにも限界があります。水は深さによらず一様で、底がないものとしています。底が明るい浅場では、腹に当たる光はこの計算より多いはずです。散乱で光が曲がる角度は、サンディエゴ港で測られたもの (Petzold 1972) を使っています。どこまで合っているかはアプリのページに書きました。

学習の効果は計算に入っていません。見つかりやすさと、覚えられやすさを同時に扱う方法がないためです。岡本ら (2001) が透明の擬餌の理由として挙げた学習効果は、まさにこの計算に入れられない部分です。

そして、その実験では透明が2位でした。コントラストで見つけやすさを測るというこの記事の基準に、正面から合わない結果です。水槽の実験で条件は違いますが、基準そのものが十分でない可能性を示しています。

接近後に見切られるかどうかは分かりません。色と結びつけて調べた資料がありません。

発光塗料は計算に入っていません。グロー系は自分で光を出すので、届いた光を返すという前提から外れます。

蛍光も計算に入っていません。チャートの多くは蛍光色で、短い波長の光を吸って黄緑で光り直します。その上乗せは、この記事の数字に入っていません。上乗せの大きさは、蛍光を起こす青い光がどれだけ届くかで変わるはずです。

魚がどの向きから見ているかは分かりません。結論の前提そのものです。

「夜は見上げられていることが多い」は推測です。シーバスがルアーをどの位置から見ているかを調べた資料は、見つけられませんでした。

コントラストが高いほど食うという証拠はありません。検出の話であって、識別と捕食は別です。

水の種類は4つに限っています。河川と河口はJerlov分類の対象外なので、濁った沿岸で代用しています。

光源は3つです。昼光・ナトリウム灯・白色LED昼白色。水銀灯やLED電球色は入れていません。

撮影と照らし合わせたのは1件だけです。淡水の湖・曇天・1日の実験です。

そして、この結論を釣果で確かめる方法はありません。

続けて読むなら

色の話はこの記事で終わりです。ここまでの5本が、この計算の材料になっています。

使ったもの・参考文献