捨て投を1投入れて、飛距離の測定をやり直しました
1週間前に測った飛距離を、測り方を2つ直してもう一度測りました。1投目が短く出る癖はほぼ消え、投げた順番の効きも消えました。かわりに、前回いちばん飛んでいた1本が再現しませんでした。
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この記事について
実測も計算も自分でやったものです。2026年9月11日と9月18日の2回の釣行で、同じ河川の中流域、同じタックルで測りました。公称飛距離だけがメーカーの公表値です。
飛距離をリールの回転数で測る記事の最後に、やってみて分かった落とし穴を2つ書きました。1投目が短く出ることと、後に投げたルアーほど飛ぶことです。対策も書きました。翌週、その対策を入れて同じことをやり直しています。
結果を先に書きます。片方の対策は効き、もう片方は働きませんでした。そして前回いちばん飛んでいた1本が、再現しませんでした。
直したのは2つです
1つめは捨て投です。ルアーを持ち替えたあと、記録しない1投を必ず入れました。
2つめはリファレンスです。同じルアー (スイッチヒッター85S) を釣行の最初と最後に投げて、その日のうちに自分がどれだけ変わったかを測ろうとしました。
測ったのは、前回が25本、今回が19本です。うち8本が両方の夜に測ったものです。
1投目の落ち込みは、偶然で説明できる範囲まで縮みました
各ルアーの5投を、そのルアー自身の平均で割った値です。1より小さければ、その投は平均より短いという意味になります。
| 投の順番 | 9月11日 (捨て投なし、25本) | 9月18日 (捨て投1投、19本) |
|---|---|---|
| 1投目 | 0.912 | 0.966 |
| 2投目 | 1.015 | 1.006 |
| 3投目 | 1.016 | 1.005 |
| 4投目 | 1.034 | 0.995 |
| 5投目 | 1.023 | 1.028 |
1投目の落ち込みが、8.8%から3.4%になりました。
これが偶然かどうかを、各ルアーの5投をばらばらに並べ替えて調べました。前回は2万通り試して1度も起きませんでしたが、今回は10回に1回は起きる程度です (それぞれ p < 0.0001、p = 0.10)。
まだ少し短い側に残っていますが、偶然と区別がつきません。3.4%は50 m飛ぶルアーで1.7 mです。
帯は、各ルアーの5投を並べ替えたときに偶然でも出る範囲です。9月11日の1投目は帯の下に大きく外れ、9月18日の1投目は帯の下端のすぐ内側に入りました。
投げた順番の効きは、消えました
前回は、後に投げたルアーほど飛んでいました。投げた順番と平均飛距離の相関が +0.44 (p = 0.03) でした。
今回は +0.09 (p = 0.71) です。何も言えません。
これは捨て投だけでは説明がつきません。捨て投が効くのは持ち替えた直後の1投で、3時間かけて自分の投げ方が変わっていく話とは別です。なぜ消えたのかは分かりません。
そのかわり、自重の効きがはっきり出ました
順番という邪魔者が消えたぶん、別のものが見えました。ルアーの自重です。
| 9月11日 | 9月18日 | |
|---|---|---|
| 自重と平均飛距離の相関 | +0.47 (p = 0.02) | +0.83 (p < 0.0001) |
| ばらつきのうち自重で説明できる割合 | 22% | 68% |
| 測ったルアーの自重の幅 | 8.0 - 31.0 g | 4.0 - 26.5 g |
ただし、これは順番のせいだけではありません。今回は4.0 gから6.8 gの軽いルアーが入って、自重の幅が下に広がりました。狭い範囲を見るより広い範囲を見たほうが、関係ははっきり出ます。今回のデータを8 g以上の15本に絞ると、相関は +0.65 に下がりました。
両方の夜で、自重と飛距離を両対数で結ぶと傾きが出ます。9月11日が 0.279、9月18日が 0.289 でした。自重を2倍にして飛距離が2割増えるという大きさで、二晩でほぼ同じ値です。重さがどう効くかは、それだけで1本の記事になるので、ここではこの数字までにします。
リファレンスは、基準になりませんでした
最初に投げたスイッチヒッター85Sの5投が平均43.5 m、最後に投げたぶんが55.3 mでした。27%伸びています。
ところが、この最後のぶんは3投目で根に掛けてロストしたため、2投しかありません。2投と5投を比べると、この差は偶然でも起こります (p = 0.15)。
そして上に書いたとおり、同じ夜のデータでは投げた順番の効きが消えています。リファレンスは「終盤のほうが飛ぶ」と言い、19本ぜんぶを使った計算は「そうは言えない」と言っている。どちらが正しいのかは、このデータでは決まりません。
基準にするルアーは失くしても買い直せるものを選んだつもりでしたが、基準を測っている最中に失くすところまでは考えていませんでした。
突出していた1本が、再現しませんでした
前回、マニック135だけが飛び抜けていました。平均73.5 mで、2位より4割長い。ほかのどのルアーとも差があると言える、唯一の1本でした。
今回は52.6 mでした。0.72倍です (p = 0.005)。
前回の5投を並べると、こうなっています。
| 1投目 | 2投目 | 3投目 | 4投目 | 5投目 |
|---|---|---|---|---|
| 61.7 m | 69.4 m | 71.0 m | 78.7 m | 86.4 m |
5投とも前の投より長く、最後は最初の1.40倍です。前回測った25本のうち、5投のあいだの伸びがいちばん大きかったのがこのルアーでした。捨て投を入れた理由そのものが、この1本にいちばん強く出ていたことになります。
数字が出た時点で気づけたはずのことでした。平均だけを見て、5投の並びを見ていなかったというだけです。
今回いちばん飛んだのはレイジーファシャッド70Sの54.5 mで、マニック135は52.6 mの2位です。よく飛ぶルアーであることは変わりません。変わったのは「飛び抜けている」という部分です。
同じルアーでも、夜が違えば飛距離が違います
両方の夜に測った8本です。
| ルアー | 9月11日の平均 (m) | 9月18日の平均 (m) | 9月18日 ÷ 9月11日 |
|---|---|---|---|
| パンチラインマッスル 80 | 38.8 | 47.8 | 1.23 |
| ソバット 80 | 36.4 | 40.4 | 1.11 |
| レイジーファシャッド 70S | 49.3 | 54.5 | 1.10 |
| カゲロウ 100F | 43.4 | 43.9 | 1.01 |
| スイッチヒッター 85S | 45.1 | 43.5 | 0.97 |
| シーバスハンターZ 95S | 46.0 | 44.0 | 0.96 |
| スネコン 90S | 46.8 | 40.6 | 0.87 |
| マニック 135 | 73.5 | 52.6 | 0.72 |
中央値は0.99です。全体として長くなったわけでも短くなったわけでもありません。
灰色が9月11日、紺が9月18日です。マニック135の9月11日だけ、線の位置も長さも飛び抜けています。ほかの7本も、夜が違えば点が1 m足らずから9 mほどずれています。
問題はばらつきのほうです。マニック135を除いた7本でも、比は0.87から1.23まで開いています。ばらけ具合を数字にすると11.6%でした。
9月24日までの73回の測定から、5投の平均そのものが持つ不確かさは4.3%と分かっているので、二晩を比べたときのばらつきは、測定の誤差だけなら6.1%に収まるはずです。実際は1.9倍あります。偶然でこうなる確率は0.1%でした。
測り方の誤差では説明できない何かが、夜ごとに乗っています。
その「何か」を、このデータでは分けられません
二晩で違っていたものを並べます。
| 9月11日 | 9月18日 | |
|---|---|---|
| 風 | 平均0.9 m/s、最大1.3 m/s | 平均2.1 m/s、最大2.7 m/s |
| 投げる向きに対する風 | 静穏 | 横風 |
| 天気 | 小雨、湿度97%以上 | 雨なし、湿度8割前後 |
| 立ち位置 | 同じ河川の中流域 | 同じ河川の中流域の別の場所 |
| キャストの方角 | 西 | 南西 |
| リーダー | プレミアムマックス4号 | グランドマックスFX4号 |
| 水温 | 24.5 ℃ | 22.5 ℃ |
| 捨て投 | なし | あり |
8つ違えば、どれが効いたかは分かりません。気温だけは20.1 ℃と20.5 ℃でほぼ同じでした。
風の数値は、釣り場から11 kmほど離れた水戸のアメダスで、釣行の時間帯の10分値を平均したものです。内陸なので目安になります。
風は素直に疑える候補です。ただし9月18日の風は、投げる向きに対して横風でした。追い風でも向かい風でもないので、飛距離が一方向に動く理由にはなりません。実際、8本の比の中央値は0.99で、全体としては長くも短くもなっていません。横風が1投ごとの振れを大きくする可能性は残りますが、二晩を比べただけでは分けられません。
立ち位置が違うと、投げる方角も足元の水深も変わります。同じ場所に入れなかった時点で、前の週と厳密に比べることはできなくなっています。
1投ごとのばらつきは、減りませんでした
捨て投で1投目の落ち込みは縮みましたが、投ごとの散らばりは小さくなっていません。各ルアーの5投の変動係数の中央値は、前回が8.6%、今回が7.9%でした。両方まとめた値は10.0%です。
9月18日の釣行ログに「ルアーによっては、やけに飛距離が出るキャストが混じる」と書きました。数字でも確かめてみます。
そういう投が混じっていれば、飛距離の分布は長いほうへ尾を引きます。この偏りを表す値は、9月11日がほぼ0で左右対称、9月18日が +0.47 で右に寄っていました。向きは体感と合っています。
ただし、この差が偶然かどうかは区別できませんでした (p = 0.23)。95投ではまだ足りません。
公称値との比
メーカーの公称値と比べた記事では、公称値のある10本で、実測が公称の0.64倍 (中央値) でした。10本の比は0.58から0.80まで開いています。「公称の6割あまり」という大きさです。
釣果
二晩の合計で269投、アタリ6回、ヒット1回です。接触は投数の2.6%でした。
15,000投以上ないとルアーの優劣は判定できないと書いているとおり、この数からルアーについて言えることは何もありません。分母として記録しているだけです。
分かっていないこと
投げた順番の効きが消えた理由が分かりません。捨て投は持ち替え直後の1投に効くもので、3時間かけての変化とは別のはずです。前回の +0.44 のほうが偶然だった可能性もあります。
リファレンスが機能していません。2投では何も言えないうえに、19本を使った計算と食い違う向きを指しています。
夜ごとの差の正体が分かりません。風、立ち位置、リーダー、水温が同時に変わっているので、分けられません。立ち位置が違えば、まわりにある木や橋、背後の土手、対岸の人なども違います。それが気になって、振り方が無意識に変わっていたのかもしれません。
前回の数字のうち、どこまでが測り方のせいだったのかが分かりません。マニック135ははっきりしましたが、測り直していない17本については、比べられる相手がいません。
マニック135がなぜ前回あれだけ伸び続けたのかも分かりません。9月11日の釣行ログには、対岸近くのボイルに届いて驚いたと書いています。狙う場所があると力が入るのかもしれませんが、測っていないので分かりません。
続けて読むなら
- ルアーの飛距離を、リールの回転数で測る— 測り方と、5投でばらつきをどう扱うか
- メーカーの公称飛距離は、釣り場で何割出るのか— 公称値との比と、メーカーごとの測定条件
- 飛距離は本当に有利なのか— 飛距離が釣果にどれだけ効くかの計算
- ルアー一覧— タックル別の実測値