星見アプリ:今夜この空で、何等星まで見えるか

全国239地点で、いまの空の星と星座、月と惑星を表示します。月明かり・薄明・街明かりから肉眼で何等星まで見えるかを計算し、見えるはずの星だけを描きます。釣りとは直接関係しない、夜の釣り場で空を見上げるための道具です。

釣りとは直接関係しない道具です。夜の釣り場で空を見上げたときに、見えている星が何なのかを調べるために作りました。星の位置は星表から、空の明るさと見える星の限界は論文の式から計算しています。

ふつうの星座早見と違うのは、見えない星を描かないところです。月が明るい夜や、薄明が残る時間、街明かりの多い場所では、暗い星から順に見えなくなります。その条件で肉眼に見えるはずの星だけを残します。使い方は下の解説をご覧ください。

円の中心が真上、縁が地平線です。見上げた空を描いているので、北を上にすると東は左に来ます。星は肉眼で見えるはずのものだけを描いています (見えない星も薄く描く、を選ぶと全部描きます)。明るさは計算の目安で、雲・もや・目の慣れ方で変わります。位置や明るさの計算は、すべてこのブラウザの中で行っています。現在地も外に送りません。

見方

円の中心が真上、縁が地平線です。内側の2本の円は、高さ60°と30°です。見上げた空をそのまま写しているので、北を上にすると東は左、西は右に来ます。地図とは左右が逆です。星座早見と同じく、向いている方角を下にして見ると、実際の空と向きがそろいます。海のほうを向いて見るときは、「向いている方角」で海の方角を選んでください。その方角が図の下に来ます。

日付は「その日の夕方からの夜」です。時刻のつまみは、選んだ日の12時から翌日の12時までを動かせます。「いま」を押すと現在の時刻に合います。昼に開いたときは、その日の21時を表示します。

点の大きさは星の明るさ、色は星の色 (B−V という色の指数) の目安です。名前を出しているのは、1等星を中心とした明るい28個の星だけです。

黄色の点線は、星座とは別に親しまれている星の並びです。夏の大三角、冬の大三角、春の大三角、秋の四辺形、冬のダイヤモンド、春の大曲線、北斗七星の7つを入れました。どの星を結ぶかは国立天文台の資料に合わせています。三角の3つは暦計算室の「おもな恒星」、冬のダイヤモンドは2026年1月の星空情報、春の大曲線は2024年5月の星空情報 (北斗七星の柄からアークトゥルス、スピカへ)、秋の四辺形と北斗七星は10月中旬20時の星図によります。

「星座の絵」を入れると、星座の絵を薄く重ねます。Stellarium で使われている Johan Meuris さんの絵 (85枚) で、絵ごとに決められた3つの星が、図の上のその星の位置に来るように伸ばしたり回したりして重ねています。とも座とほ座はりゅうこつ座と合わせた1枚の船 (アルゴ船) の絵に、へび座はへびつかい座の絵に描かれています。地平線の近くでは、図のゆがみに合わせきれず、絵が星からずれることがあります。

星座線、星座の絵、星座名、星の名前、星の並びは、それぞれ表示と非表示を切り替えられます。文字が重なるところでは、月と惑星、星の名前、星の並び、星座名の順に優先して置き、どこに置いても重なる名前は出しません。スマホのように図が小さいときは、出る名前が少なくなります。

下の表には、月と5つの惑星 (水星・金星・火星・木星・土星) の高さ、方角、等級と、肉眼で見えるかどうかを出しています。天王星と海王星は肉眼ではほぼ見えないので、入れていません。

街明かりと空の澄み具合

「街明かり」の5段階は、環境省の夜空の明るさ調査が載せている「夜空の明るさの目安」(星空公団の資料) の区切りに合わせました。単位は等級/平方秒角で、数字が大きいほど空が暗いことを表します。計算には、それぞれの段階のおおよそ中ほどの値 (とても暗い21.3、山や海20.5、郊外19.5、住宅地18.5、市街地17.5) を使っています。

選択肢目安の区切り (等級/平方秒角)目安に書かれている見え方計算に使う値
とても暗い21以上天の川の複雑な構造が確認でき、星団などの観測ができる21.3
山や海の暗さ20以上21未満山や海などの暗さ、天の川がよく見られる20.5
郊外19以上20未満郊外の暗さ、天の川が見え始める19.5
住宅地18以上19未満住宅地の明るさ、星座の形がよく分かる18.5
市街地17以上18未満市街地の明るさ、星座の形が分かり始める17.5

同じ調査で、2022年1〜2月の継続観察地点の平均は、住宅地域で18.93、森林山間地で20.71でした。釣り場の空がどの段階かは、まわりの明かりで決めてください。常夜灯の真下に立っていると、目が慣れないので、この表より見える星は少なくなります。

「空の澄み具合」は、空気が星の光をどれだけ弱めるかの係数です。Schaefer (1990) が、よく澄んだ夜の値として0.20、ふつうの値として0.30等/大気路程を挙げているので、その2つを選べるようにしました。

赤い画面

「赤い画面」を入れると、ページ全体が黒地に赤い文字になります。暗さに慣れた目は赤い光をほとんど感じないので、画面を見ても慣れが崩れにくくなります。理由は赤いライトは魚に見えないのかに書きました。赤でも強い光は目の慣れを崩すので、画面の明るさは下げて使ってください。

何を計算しているか

星と惑星の位置

星は HYG 星表 (v4.4) から、6.5等より明るい8,920個を使っています (ほかに、星座の絵の位置合わせに使う、6.5等より暗い星が2つ入っています)。2000年の位置で書かれているので、地球の自転軸の向きがゆっくり変わる歳差のぶんを直してから描きます。直さないと、2026年の時点で最大23分角ずれます (下の比較の12件のうち最大)。

太陽・月・惑星の位置と惑星の等級は、Schlyter の計算法で求めています。van Flandern and Pulkkinen (1980) の式を簡単にしたもので、作者は精度を1〜2分角としています。月の位置には、軌道のずれを直す項 (経度12、緯度5、距離2) を足し、地球の中心ではなく地表から見たぶんの直しも入れています。

星座線は、Stellarium の「modern_iau」の線を使っています。国際天文学連合 (IAU) のウェブサイトに載っている、Sky & Telescope 誌と作った星座の図です。星座の日本語名は国立天文台の一覧によります。

空の明るさ

見える星の数を決めるのは、空の明るさです。次の3つを足しています。

  1. 夜空そのもの。上で選んだ「街明かり」の値を真上の明るさとし、地平線に近づくほど明るくなる分を Krisciunas and Schaefer (1991) の式 (2)(3) で足します
  2. 月明かり。月が空気に散らされて空を明るくする分を、同じ Krisciunas and Schaefer (1991) の式で計算します。月の満ち欠け、月の高さ、その方向が月からどれだけ離れているか、空の澄み具合で決まります。著者らは、実測との差を8〜23%としています
  3. 薄明。日没後と日の出前の空の明るさです。Patat ら (2006) がチリのパラナル天文台 (標高2,600 m) で測った、太陽の高さと真上の空の明るさの式を使っています

薄明の式は、太陽が地平線の下5〜15°のあいだだけで作られたものです。太陽が地平線の下5°より上にあるとき (昼と、日没の直後) は計算の範囲外なので、空が暗かった場合の見え方を描き、図の上にそう書きます。また、高い山の上の値なので、そのまま海辺に持ってくると暗すぎます。同じ論文で、標高600 m の観測所の薄明は、太陽が地平線の下5.5〜11°のあいだ、パラナルより平均0.27等明るく、2つの場所の気圧の比から出る0.28等とほぼ同じだった、と報告されています。そこで、気圧1,013 hPa と743 hPa の比 (約1.36倍) を掛けて、海辺の値にしています。この直し方は論文の報告をもとにした私の仮定で、海辺の薄明を測った値で確かめてはいません。

見える限界の等級

空の明るさから、肉眼で見える最も暗い星の等級を、Schaefer (1990) の式で出しています。この論文は、人が点の光をどこまで見分けられるかの実験 (Knoll ら 1946、Hecht 1947 のまとめ) から式を組み立て、314件の観察と比べたものです。観察との差は、経験の差を直したあとで0.5等ほどでした。よく星を見ている人は、そうでない人より1等以上暗い星まで見えることがある、とも書かれています。

論文の式 (18) は真上の星の式です。このアプリでは、空気による減光が高さとともに増える分を足して、空のどの方向にも使えるようにしています。もう1つ、論文は背景の明るさで「暗いところの目の式」と「明るいところの目の式」を切り替えていますが、このアプリは2つの式のうち暗い星まで見えるほうを採っています。切り替えの点で限界の等級がとばないようにするためです。真上の空が19.2〜18.2等/平方秒角のあいだでは、論文の切り替えどおりに計算するより、最大0.8等暗い星まで見える計算になります。

計算はどこまで合っているか

位置は、国立天文台暦計算室の「太陽系天体の高度と方位」「恒星の高度と方位」と比べました。東京で、2026年10月17日・2027年1月18日・2027年5月1日の21時と3時の値です。大気による浮き上がり (大気差) は、どちらも入れずに比べています。

天体比べた件数位置の差の最大 (分角)等級の差 (このアプリ − 国立天文台)
太陽40.3−
月41.7−
水星40.7−0.08 〜 +0.07
金星41.3+0.21 〜 +0.26
火星40.2+0.01 〜 +0.10
木星40.6+0.19 〜 +0.21
土星41.2−0.16 〜 −0.11
恒星 (北極星、ベガ、シリウス、アークトゥルス、アンタレス、アルデバランの6個)121.3−

位置の差は、いちばん大きい月でも1.7分角で、満月の見かけの直径 (約30分角) の6%ほどです。目で見て分かる差ではありません。等級は、金星と木星で約0.2等暗く、土星で約0.1〜0.2等明るく出ます。

空の明るさと限界の等級は、論文の値を再現できるかで確かめました。Krisciunas and Schaefer (1991) の表2 (月の位相角4通り × 月からの角距離5通りの20個の値) は、すべて一致しました。Schaefer (1990) が例に挙げている「夜空136 nL、澄み具合0.3で、真上の限界6.05等」も同じ値になります。

できないこと

  • 雲、もや、黄砂、湿気は入れていません。「空の澄み具合」の2段階で代わりにしているだけです
  • 街明かりは、空全体に一様にかかるものとしています。実際には街のある方角の地平線ほど明るくなりますが、その分布は入れていません
  • 薄明は、真上の明るさを空全体に使っています。実際には太陽が沈んだ方角ほど明るく残ります
  • 大気による浮き上がり (大気差) は入れていません。地平線の近くでは、実際の星は図より最大0.5°ほど高く見えます
  • 月の明るさは、満月の前後1日ほどは実際より暗めに出ます。満月のときだけ月が強く光る効果 (衝効果) を、Krisciunas and Schaefer (1991) の式は入れていないためです (論文によれば最大1.35倍)
  • 天の川、星雲・星団、人工衛星は描いていません
  • 見える限界は、目が暗さに十分慣れた、ふつうの人の目安です。慣れるまでの20〜30分は、これより見えません

続けて読むなら

  • 月明かりカレンダー — 今夜、月がいつ出ていつ沈むか
  • 朝マズメ・夕マズメは、なぜ釣れると言われるのか — 薄明のあいだに明るさがどれだけ速く変わるか

使ったもの・参考文献

このアプリが読み込む星のデータ (/stars/stars.json) は、星のデータと星座線を加工したもので、元と同じ CC BY-SA 4.0 で使えます。星座の絵 (/stars/art/ の画像) は元の絵を縮めたもので、元と同じ Free Art License で使えます。